AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

> 課題検索詳細

研究課題情報

研究課題名
変異型SARS-CoV-2ウイルスに対応可能な治療用中和抗体の開発
課題管理番号
20fk0108516j0001
統合プロジェクト
医薬品プロジェクト
事業名
新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/特殊目的用コード
代表研究機関
国立感染症研究所
研究代表者
(2020) 森山彩野 , 国立感染症研究所 , 治療薬・ワクチン開発研究センター 主任研究官
研究期間
2020年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 0
  • 2020年度
    最終金額確定後に配分額を表示します。
研究概要(2020)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はACE2に結合して宿主細胞へ感染する。SARS-CoV-2スパイクタンパク質内の宿主受容体結合部位(RBD)を認識する抗体の一部は、SARS-CoV-2とACE2の結合を阻害して中和効果を発揮する。SARS-CoV-2感染回復者では中和抗体の産生が確認され、またワクチン接種による感染防止の主要な作用機序は中和抗体の誘導であることから、中和抗体は治療薬として有効であるとともに、より効果的に中和抗体を誘導できるワクチンの開発が求められる。しかしながら世界的な感染拡大に伴い、RBDに変異を持つSARS-CoV-2の発生とその感染拡大が起きつつある。特にその一部は従来型SARS-CoV-2感染回復者血漿抗体で中和されづらく、また既存の治療用抗体の効果も減弱することがわかりつつある。これに加え、ワクチン接種が広まるとワクチンによって誘導される中和抗体からの退避耐性を持つ新たなRBD変異ウイルスが出現・感染拡大することが懸念される。このため、本研究課題ではRBD変異ウイルスにも高い中和活性を持つ治療用抗体の新規スクリーニング技術開発とそれを用いた治療用抗体シーズの開発を行うとともに、治療用中和抗体の詳細な立体構造解析を明らかにする。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のACE2結合部位(RBD)に結合して感染を阻害する中和抗体は治療薬として有効であり、またその立体構造の詳細な解析は効果的に中和抗体を誘導できるワクチンの開発につながることからも、治療用中和抗体の開発は重要である。世界的な感染拡大に伴い、RBDに変異を持ち従来の中和抗体が効きづらいSARS-CoV-2の発生とその感染拡大が起きつつある。これに加え、ワクチン接種が広まるとワクチンによって誘導される中和抗体からの退避耐性を持つ新たなRBD変異ウイルスが発現・感染拡大することが懸念される。このため、本補助事業では蛍光標識されたRBD抗原を用いたフローサイトメトリー細胞単離・培養によりRBD抗原結合抗体産生B細胞と産生抗体を解析する技術をもとにした新規スクリーニング技術を開発し、感染回復者由来の変異ウイルスに対応可能な中和抗体を開発した。また本補助事業では先行開発していた新型コロナウイルス抗体5種類についての初期物性評価を行った。感染回復者末梢血検体から得られたモノクローナル抗体についてin vitroでの感染阻害実験により詳細な性能評価を実施し、オミクロン株を含む様々な変異株に対して高い中和活性を持つ中和モノクローナル抗体を多数得ることが出来た。その中から3種類のモノクローナル抗体について小動物モデルにて治療効果を評価したところ、従来株とオミクロン株の感染に対する治療効果が認められた。SARS-CoV-2スパイクタンパク質と抗体の構造解析からこの抗体がユニークなエピトープを持つことが明らかになった。また実験的に単離した退避変異ウイルスの解析を行ったところ増殖性の低下がみられた。以上、本研究では変異ウイルスRBDを認識する抗体のスクリーニング技術を開発し、オミクロン株を含む様々な変異株に対して活性を持つモノクローナル抗体を複数得ることが出来た。退避変異ウイルスでは増殖性が低下しており、感染拡大には繋がらないと予想される。これらのことから、本研究によって得られた中和抗体は新型コロナウイルス中和抗体医薬のシード抗体として有望であると考えている。
学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
  • ◀◀
  • 1
  • ▶▶

1.変異型SARS-CoV-2ウイルスに対応可能な治療用中和抗体の開発、森山彩野、第5回TRSシンポジウム‐第2回新型コロナウイルス感染症対策関連研究開発事業の成果報告会‐、2021年、国内、口頭 (招待講演)

国内 / 講演

2.COVID-19等の感染症に対する治療薬・ワクチン開発を目指したBSL3クライオ電子顕微鏡を軸とする北大創薬拠点、前仲勝実 日本生物物理学会、2021年、仙台 オンライン 口頭 (招待講演)

不明 / 講演

3.BSL3 Cryo-Electron Microscopy facility of Hokkaido University Drug Discovery Base targeting for the Development of Therapeutics and Vaccines against COVID-19 and Infectious Diseases、前仲勝実 日本分子生物学会、2021年、横浜 オンライン 口頭 (招待講演)

不明 / 講演

4.コロナウイルス研究のための蛋白質科学プラットフォームの構築, 橋口隆生, 第41回阿蘇シンポジウム, 2021/08/21, 国内, 口頭(招待講演)

国内 / 講演

5.蛋白質精製技術を活用したコロナウイルス研究, 橋口隆生, 第95回日本細菌学会, 2022/03/30, 国内, 口頭(招待講演)

国内 / 講演



更新日:2023-04-18

TOPへ