AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
簡易RNA抽出法と複合LAMP法を基盤とする、従来よりも安全・迅速・高感度な COVID-19診断システムの開発
課題管理番号
20he0622031h0001
統合プロジェクト
医療機器・ヘルスケアプロジェクト
事業名
ウイルス等感染症対策技術開発事業
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/特殊目的用コード
代表研究機関
国立大学法人京都大学
研究代表者
(2020) 山崎渉 , 国立大学法人京都大学 , 東南アジア地域研究研究所 教授
研究期間
2020年度-2020年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 28,600
  • 2020年度
    28,600
研究概要(2020)
COVID-19の安価な迅速・大量診断システムを構築し、本邦を始めリソースが限られている国や地域においても普及を図り、世界のCOVID-19制御に貢献する。従来よりも、(1)簡易・迅速・安全なRNA抽出法、(2)高感度な複合RT-LAMP法の2つを新開発し、従来よりも安全・迅速・高感度なSARS-CoV-2の検出技術を確立する。その上で、(3)臨床検体を用いて開発技術の性能を評価する。開発後は、速やかに国内外にプロトコルを公開し、民間企業、公的研究機関と連携し普及を図るとともに、リソースが限られている発展途上国や地域への普及も推進する。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
COVID-19患者を現場で迅速に診断するために、POCT (point-of care test、ポイントオブケア検査)を開発した。採取者の安全確保、被採取者の負担軽減のために、鼻咽頭スワブではなく、唾液を被検材料とする開発に重点を置いた。喀痰溶解剤との混和・加熱による臨床検体からの簡易・迅速・安全なRNA抽出法と3セットのLAMPプライマーからなる複合RT-LAMP法を組み合わせて開発した。開発法により、高価で時間を要するRNA抽出キットと遠心分離機を必要とせず、45分以内のCOVID-19診断が可能となった。従来法(核酸抽出キットとリアルタイムRT-PCRを使用)との比較では、鼻咽頭スワブと唾液それぞれにおいて、診断的感度と診断的特異度は、前者が55%(21/38)と100%(50/50)、後者が83%(20/24)と100%(28/28)を示した。開発法の検出限界は250コピー/反応(25,000コピー/mL)だった。研究開始は、血液からの簡易なDNAおよびRNA抽出ができることを確認済のSDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を用いて開発を行った。しかし、唾液からのRNA抽出効率が予想以上に低かった。そのため、喀痰溶解剤であるセミアルカリプロテイナーゼと安価なヒートブロック加熱を併用した簡易なRNA 抽出法を新しく考案した(加熱工程を加えることで、検査者の感染リスク低減も実現した)。開発法は簡易な加熱機器と安価な試薬で診断が可能であるため、唾液検体を用いた実用的なPOCTとしての普及が期待できる(既報による唾液を用いた抗原検出キットの診断的感度はわずか12%であり、実用には適さない。J Clin Microbiol, 58, 2020, e01438-20)。鼻咽頭スワブにおいては、偽陰性となった17検体中14検体と3検体は、それぞれ開発法の検出限界を下回る低ウイルス量、あるいは検出限界付近のボーダーライン上に相当する低いウイルス量を保有していた。それゆえ、検体中ウイルス量の偏りが大きかったことから、有用性の評価は保留した。本開発法は唾液を用いたCOVID-19の検査をより簡易化、迅速化するとともに、感染リスクの低減に貢献し、現場でのCOVID-19簡易検査に利用できる可能性を有している。検出感度を高めるために、さらなる改良を行っている。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Yamazaki W, Matsumura Y, Thongchankaew-Seo U, Yamazaki Y, Nagao M. Development of a point-of-care test to detect SARS-CoV-2 from saliva which combines a simple RNA extraction method with colorimetric reverse transcription loop-mediated isothermal amplification detection. Journal of Clinical Virology. 2021, 136, 104760, doi: 10.1016/j.jcv.2021.104760

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.A point-of-care test to detect SARS-CoV-2 from saliva. Yamazaki W., 1st knowledge sharing activity: PSU-Harvard-Kyoto Collaborative Linkages for Microbial Genome Resources, 2021/03/29. 海外(Hat-Yai, Thailand, オンライン開催), 口頭

国外 / 口頭

2.Explaining the Social background of the emergence of COVID-19 and the development of point-of-care (POCT) test for its early diagnosis. Yamazaki W, CSEAS Colloquium, 2020/12/17. 国内, 口頭

国内 / 口頭



更新日:2022-05-11

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