AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構（AMED）の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

• 2021
• 2020

【成果報告書】

成果の概要

ウイルス療法は、すべての固形がんに共通のメカニズムで作用し、放射線治療や化学療法が効かないがん幹細胞をも根絶し得る革新的な治療モダリティである。特に第三世代のがん治療用単純ヘルペスウイルスI型（G47Δ）は、人為的三重変異によって高い安全性と強力な抗腫瘍作用を実現した。本研究は、これまでに進めてきた4種の癌腫に対する臨床開発を継続かつ発展させて、G47Δの適応を迅速に「固形がん」に拡大させることを最終目標とする。膠芽腫を対象としたG47Δの第Ⅱ相医師主導治験において、平成30年の中間解析の結果で有効中止基準を有意に上回る極めて高い治療効果が示されて被験者登録は早期終了となり、本治験をpivotal studyとして製造販売承認申請に進める方針となった。G47Δは、平成28年2月に厚労省の先駆け審査指定制度の対象品目に選定され、平成29年7月には悪性神経膠腫に対する希少疾病用製品に指定されている。令和2年12月28日に、悪性神経膠腫を適応症とする製造販売承認申請を行った。令和3年6月11日には世界初となる悪性神経膠腫を適応症とするウイルス療法製品として製造販売承認され、令和3年11月1日に販売開始となった。
進行性嗅神経芽細胞腫を対象とした第Ⅰ相試験は、引き続き被験者リクルートを行った。世界初のG47Δ胸腔内投与の臨床安全性POCの取得を目指した、悪性胸膜中皮腫を対象とした第Ⅰ相試験は、G47Δの胸腔内への反復投与の安全性が確認された。転移を有する前立腺癌を対象とした第Ⅱ相試験については、令和4年3月に1例目の被験者に対する初回投与を行った。
G47Δをがん治療の新しい治療モダリティとして幅広く普及させることを目指し、さまざまながんに対する非臨床試験を行った。

学会誌・雑誌等における論文一覧

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1.Uchihashi T, Nakahara H, Fukuhara H, Iwai M, Ito H, Sugauchi A, Tanaka M, Kogo M, Todo T: Oncolytic herpes virus G47Δ injected into tongue cancer swiftly traffics in lymphatics and suppresses metastasis. Mol Ther Oncolytics 22: 388-398, 2021. [doi: 10.1016/j.omto.2021.06.008.eCollection 2021 Sep 24.]

2.Sugawara K, Iwai M, Ito H, Tanaka M, Seto Y, Todo T: Oncolytic herpes virus G47Δ works synergistically with CTLA-4 inhibition through dynamic intratumoral immune modulation. Mol Ther Oncolytics 22: 129-142, 2021. [doi: 10.1016/j.omto.2021.05.004. eCollection 2021 Sep 24.]

3.Yajima S, Sugawara K, Iwai M, Tanaka M, Seto Y, Todo T: Efficacy and safety of a third-generation oncolytic herpes virus G47Δ in models of human esophageal carcinoma. Mol Ther Oncolytics 23: 402-411, 2021. [doi.org/10.1016/j.omto.2021.10.012. eCollection 2021 Dec 17.]

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター

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1."Recent progress of oncolytic virus therapy using HSV-1"、 藤堂具紀、第27回日本遺伝子細胞治療学会学術集会、虎ノ門ヒルズフォーラム、2021年9月9-10日、国内、口頭。

国内　/　口頭

2."Development and approval of oncolytic herpes virus G47Δ for malignant glioma in Japan"、藤堂具紀、the European Society for Gene and Cell Therapy (ESGCT) 2021Virtual Congress（オンライン）2021年10月22日、国内、口頭。

国内　/　口頭

3."Clinical development and approval of oncolytic herpes virus G47Δ"、藤堂具紀、13th International Oncolytic Virotherapy Conference Meeting、（オンライン）2021年11月5-7日、国内、口頭。

国内　/　口頭

4.シンポジウム18「遺伝子・細胞治療と再生医療」、藤堂具紀、第21回日本再生医療学会総会、完全WEB開催、2022年3月17-19日、国内、口頭。

国内　/　口頭

5.G47Δ in patients with castration-resistant cancer, 福原　浩, 第27回日本遺伝子治療学会学術集会, 2021/9/10, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

「国民との科学・技術対話社会」に対する取り組み

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1.「デリタクト注の概要等について」、藤堂具紀、第一三共株式会社 デリタクト講習会（東京都中央区、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター）、2021年9月11日、国内。

国内

2.「今後のGBM領域の将来の治療環境について」、藤堂具紀、大日本住友製薬株式会社 社内研修会（東京都中央区、大日本住友製薬 東京本社）、2021年10月5日、国内。

国内

3.「ウイルス療法ーがん治療の新時代」、藤堂具紀、交詢社 常例午餐会（東京都中央区、交詢ビル）、2021年10月8日、国内。

国内

4.「悪性神経膠腫のウイルス療法」、藤堂具紀、第8回劔ニューロオンコロジーセミナー（富山県富山市、富山県民会館）、2021年12月1日、国内。

国内

5.「ウイルス療法の開発について」、藤堂具紀、保健・医療パラダイムシフト推進協議会（神奈川県横浜市、WEB開催）、2021年12月20日、国内。

国内

6.「基礎研究から応用、実用化への橋渡し」、藤堂具紀、第6回AMEDがん若手研究者ワークショップ（東京都千代田区、WEB開催）、2022年1月13日、国内。

国内

7.「悪性神経膠腫のウイルス療法」、藤堂具紀、第17回信濃町脳腫瘍セミナー（東京都新宿区、慶應義塾大学病院、WEB開催）、2022年1月22日、国内。

国内

8.「改変ウイルスでがんを治す」、藤堂具紀、第36回札幌冬季がんセミナー（WEB開催）、2022年1月29日、国内。

国内

9.「遺伝子組換えヘルペスウイルスを用いたがんのウイルス療法の臨床開発」、藤堂具紀、先端医療シーズ開発フォーラム(東京大学医学部附属病院、WEB開催)、2022年2月4日、国内。

国内