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AMED研究開発課題データベース
日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。
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研究課題情報
研究課題名
食物アレルギー患者の耐性獲得過程における、アレルゲン特異的IgG4プロファイル解析によるアレルゲン寛容誘導機序の解明
課題管理番号
21ek0410070h0002
統合プロジェクト
疾患基礎研究プロジェクト
事業名
免疫アレルギー疾患実用化研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/損傷,中毒およびその他の外因の影響
タグ(2020)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/損傷,中毒およびその他の外因の影響
過去のタグ
代表研究機関
国立大学法人金沢大学
研究代表者
(2021)
渡部良広
, 国立大学法人金沢大学
, 附属病院先端医療開発センター・特任教授
(2020)
渡部良広
, 国立大学法人金沢大学
, 附属病院先端医療開発センター・特任教授
研究期間
2020年度-2021年度
課題への総配分額
(単位:千円)
39,000
2021年度
19,500
2020年度
19,500
研究概要(2021)
食物アレルギー患者(牛乳アレルゲン)への経口免疫療法(OIT)施行によって、アレルゲン特異的IgG4抗体価の上昇を認めた症例サンプルを活用して、組換えIgG4抗体の作出を行っている。複数のサンプルからIgG4組換え体を作出しているが、引き続いて、異なる症例および異なるB細胞群からIg-CDR配列を決定し、組換えIgG4を作出する。それらのアレルゲン反応性およびアレルゲン特異的IgE反応の阻害能などを、R2年度に構築した評価法にて解析する。選択される組換えIgG4抗体は、広く牛乳アレルゲン反応性IgEを阻害することが期待される。 並行して、OIT施行における耐性獲得に関与するバイオマーカー探索を、R2年度に見出したバイオマーカー候補を含めて、多くの症例サンプルを活用して検討する。それら候補マーカーについて、OIT施行および通常の牛乳負荷における耐性獲得感受性やその有効性予測に活用できるかを解析して、新規のバイオマーカーとして有用性を明らかにする。
研究概要(2020)
食物アレルギー患者の耐性獲得は、積極的なアレルゲン経口免疫療法(oral immunotherapy :OIT)に加えて自然経過による耐性獲得(natural outgrow of resistance)によっても達成される。しかし特に熱耐性のアレルゲン(カゼインやAra h2)を有する牛乳やピーナッツアレルギーでは、OIT施行においても持続的な耐性獲得・根治に至らないケースが多い。 OITによるアレルゲン耐性獲得は、血中アレルゲン特異的IgG4価が上昇し、このIgG4によるIgE-アレルゲン認識の競合阻害がひとつの作用機序と考えられている。本研究では、OIT施行患者のIgG4を単一B細胞レベルで解析すると共に、IgG4組換え抗体をCDRs領域核酸配列の重複性を指標として取得し、“アレルゲン-IgE反応系”における阻害作用等を、アレルゲンコンポーネントの認識能やエピトープ等の解析によって明らかにする。併せて、組換えIgG4抗体のIgE介在性反応に対する作用を評価するモデル系を構築し、IgG4作用の詳細を検討する。また、OIT施行前後の患者、並びに自然治癒に至った患者血液について、本研究で構築するアレルゲン認識IgG4の評価系を適応し、アレルゲン耐性獲得に関わるバイオマーカーを探索する。アレルゲン特異的IgG4の変化は、その有力な候補となる。
過去の研究概要
研究成果情報
成果の発表
2021
2020
【成果報告書】
成果の概要
臨床研究下にて経口免疫療法(OIT)を行った牛乳アレルギー患者(小児)の末梢血B細胞シングルセル解析から、50個以上の異なる配列および同一クローナルツリー内の親和性成熟過程の各種抗体を取得した。それら組換え抗体の牛乳アレルゲンコンポーネントへの反応性を評価し、10個以上の認識抗体を選別した。、主要コンポーネントであるαカゼイン認識抗体については、抗体特性(k-on/k-off等の結合プロファイル)を分子間相互作用解析(SPR解析装置;BLitz)を用いて明らかにした。続いて、非OIT牛乳アレルギー患者由来のIgEのアレルゲン反応性に対する、当該組換え抗体の阻害能などを指標に機能分類した。
これまでに、IgE反応阻害、アレルゲン依存的顆粒球活性化の抑制能を有する抗体を複数抗体取得した。これらヒトIgG4型組換え抗体は、牛乳アレルゲン特異性を有しかつアレルギー反応制御能を有し、誤食やOIT時の過剰アレルギー反応を改善し、アナフィラキシーリスクの抑制や寛容誘導を達成する医療用途が想定される。
バイオマーカー探索では、IgG4クラスの牛乳アレルゲン認識抗体の有用性については一定のコンセンサスがあるが、IgG4以外のIgクラスの有用性および抗体認識エピトープのプロファイリングの有用性を検討した。Igクラスの探索では、特定Igクラスのアレルゲン特異的抗体価がOIT有効性または牛乳アレルゲン負荷に伴い上昇する結果から、アレルゲン特異的IgG4抗体価に比較して、よりOIT効果をよく反映できる可能性を見いだした。この検証のために、当初計画の自施設食物アレルギー児の血清に加えて、外部施施設の牛乳アレルギー患者血清について解析し、特定Igクラスの抗体価がIgG4抗体価と同等以上に有用であるとの結果を得た。
いま一つの抗体認識エピトープのプロファイリングでは、牛乳アレルゲンコンポーネント(α/β/κカゼイン、ラクトグロブリン)のペプチドアレイを作製し、アレルギー患者抗体の反応エピトープを網羅的に解析し、IgEとIgGエピトープを抽出した。簡易な評価系にするため、同定した"共通エピトープ"を検出する「ペプチドELISA」系を構築した。これを用いて、非OITアレルギー患者血清のIgEエピトープの特徴、およびOIT施行アレルギー患者血清のIgG4等エピトープ特徴を解析した。OIT有効 vs. OIT不応答の違い、難治化マーカーに活用できる可能性を見出した。
更新日:
2023-04-18