AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構（AMED）の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

• 2020

【成果報告書】

成果の概要

１．DKK1/CKAP4発現がん細胞の選択と改変抗体の調製
DKK1が過剰発現しかつCKAP4が細胞膜に局在するヒトがん細胞（DKK1/CKAP4発現がん細胞）をqPCR、ウエスタンブロッティング法、細胞膜ビオチン化法により確認した。ヒトがん細胞34株から、膵がん細胞株S2-CP8, HPAF-II, PANC-1、肺がん細胞株A549, Calu-1, NCI-H596、食道扁平上皮がん細胞株TE-5, TE-8、肝がん細胞株Hep-3B、Huh-7, JHH7がDKK1/CKAP4発現がん細胞（11株）であることを明らかにした。
改変抗体とDKK1/CKAP4発現がん細胞を用いて計画２と３においてin vitroとin vivoの実験系で、改変抗体の薬効をマウス由来抗CKAP4モノクローナル抗体（オリジナル抗体）と比較して解析した。

２．改変抗体の薬効に関するin vitro実験系での評価
①改変抗体は、S2-CP8細胞の内在性CKAP4をオリジナル抗体と同じ濃度で検出し、免疫沈降可能であった。
②DKK1とCKAP4細胞外領域タンパク質のin vitroでの結合を改変抗体は用量依存性に阻害した。阻害に必要な抗体量はオリジナル抗体と同程度であった。
③がん細胞のAKT活性を、改変抗体はオリジナル抗体と同程度に阻害した。
④がん細胞の3次元培養下でのスフェア形成を改変抗体はオリジナル抗体と同程度に阻害した。

３．改変抗体の薬効に関するin vivo実験系での評価
①3種類のがん細胞をヌードマウスに皮下移植して、腫瘍が100 mm ³ に到達した時点で改変抗体を一匹当たり200μgずつ腹腔内に週2回投与して、3～5週間腫瘍形成を観察したところ、改変抗体による抗腫瘍効果が認められた。
②COVID-19の影響で、動物実験施設での活動が制限され、また新規の実験計画を行うことができない時期が生じたために、他のがん細胞株に対する改変抗体の薬効解析を令和3年度に行うこととした。

4．申請対応用非臨床試験の実施および治験準備（研究代表者菊池章と橋渡し研究支援拠点担当）
ヒト化抗CKAP抗体の第Ⅰ相医師主導治験のために必要な非臨床試験パッケージについてRS戦略相談（事前面談と対面助言）を受けた。それを基準にして、令和3年度のカニクイザルを用いた安全性試験の計画を立てた。

学会誌・雑誌等における論文一覧

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1.Kimura, K., Matsumoto, S. Harada T, Morii E, Nagatomo I, Shintani Y, Kikuchi, A. Arl4c ils Associated with Initiation and Progression of Lung Adenocarcinoma and Represents A Molecular Target for Lung Cancer Therapy. Cancer Sci., 2020, 111(3):951-961. doi:10.1111/cas.14303.

2.Harada, T., Sada, R., Osugi, Y., Matsumoto, S., Matsuda, T., Hayashi-Nishino, M., Nagai, T., Harada, A.,?Kikuchi, A. Palmitoylated CKAP4 regulates mitochondrial functions through an interaction with VDAC2 at ER-mitochondria contact sites.?J Cell Sci.?2020, 133(21):jcs249045. doi:10.1242/jcs.249045.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター

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1.アネキシンA2によるDKK1受容体CKAP4の細胞膜への輸送制御. 山本 英樹, 佐田 遼太, 菊池 章. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/14, 国内, ポスター.

国内　/　ポスター

2.肝細胞がんにおけるWnt標的遺伝子GREB1の発現と細胞増殖制御. 瀬田 みなみ, 松本 真司, 福本 巧, 菊池　章. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/14, 国内, ポスター.

国内　/　ポスター

3.The Dickkopf1 and FOXM1 positive feedback loop is associated with tumor growth of pancreatic and esophageal cancer. 佐田 遼太, 高田 直季, 木村 公一, 菊池 章. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/14, ポスター.

不明　/　ポスター

4.サンドイッチELISA法を用いた肺がん患者における血清CKAP4タンパク濃度の測定. 名越 章裕, 佐田 遼太, 木村 公一, 山本 英樹, 菊池 章. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/14, ポスター.

不明　/　ポスター

5.悪性黒色腫におけるGREB1 isoform 4の発現機構解析と治療への応用. 新沢 康英, 松本 真司, 種村 篤, 藤本 学, 菊池 章. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/14, 国内, ポスター.

国内　/　ポスター

6.松本 真司, 山道 拓, 新沢 康英, 奥山 宏臣, 菊池 章. Wntシグナル標的遺伝子GREB1によるTGFβシグナルの抑制を介した肝芽腫形成の制御. 第93回日本生化学会大会, 2020/9/15, 国内, ポスター.

国内　/　ポスター

7.Wnt signaling and molecular target therapy. Akira Kikuchi. 第79回日本癌学会学術総会, 2020/10/1, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

8.Wnt5a signaling and Colitis-associated tumor formation. Akira Kikuchi. 第79回日本癌学会学術総会, 2020/10/1, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

9.Akikazu Harada, Shinji Matsumoto, Akira Kikuchi. Recruitment of KRAS downstream target ARL4C to memblane protrusions accelerates pancreatic cancer cell invasion. 第79回日本癌学会学術総会. 2020/10/1. 国内, ポスター

国内　/　ポスター

10.DKK1-CKAP4 signaling is associated with poor prognosis of HCC and CKAP4 might represent a novel therapeutic target. Kosuke Iguchi, Hidetoshi Gon, Hirokazu Kimura, Shinji Matsumoto, Takumi Fukumoto, Akira Kikuchi. 第79回日本癌学会学術総会, 2020/10/1, 国内, ポスター.

国内　/　ポスター

11.上皮形態形成研究を基盤とした新規抗がん剤開発. 菊池 章. 第51回日本膵臓学会大会, 2021/1/9, 国内, 口頭.

国内　/　口頭