AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
発達性吃音の小児期疫学調査と回復要因の研究
課題管理番号
21dk0310102j0003
統合プロジェクト
ゲノム・データ基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
その他
事業名
障害者対策総合研究開発事業<その他> , 長寿・障害総合研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/調査等の解析による実態把握を目指す研究<フィールドワーク、サーベイランス、モニタリングを含む>
/開発フェーズ/観察研究等
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/精神および行動の障害
タグ(2020)
/研究の性格/予防のためのエビデンス構築を目指す研究<疫学を含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/精神および行動の障害
タグ(2019)
/対象疾患/精神および行動の障害
代表研究機関
国立障害者リハビリテーションセンター
研究代表者
(2021) 森浩一 , 国立障害者リハビリテーションセンター , 国立障害者リハビリテーションセンター・総長
(2020) 森浩一 , 国立障害者リハビリテーションセンター , 自立支援局・局長
(2019) 森浩一 , 国立障害者リハビリテーションセンター , 国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局・局長
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 6,734
  • 2021年度
    3,152
  • 2020年度
    3,582
  • 2019年度
    0
研究概要(2021)
本研究は、2016〜2018年度のAMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」の部分をなす疫学調査のコホートを引き継ぎ、1)学齢初期までの新規発症を調査し、累積発症率と発症や持続に関わる定性的要因を確定する、2)吃音の経過への関与が示唆されている要因について、吃音が回復した児と残存する児で比較調査して回復・持続関連要因を明らかにする、3)吃音のある児の治療ニーズを評価し、必要なリソースを推定することを目指す。また、4)有効性の高い治療法が確立していない学齢期について、近年提案されている認知行動療法的アプローチを含めた治療法の有効性の検証を行う。本年度は、1)〜3)を継続実施し、4)の介入研究を本格実施する。また、5) 吃音の総合的評価であるOASES-S-J質問紙の標準化についての論文を出版し、6) 前研究の成果である幼児吃音臨床ガイドラインを完成・公開する。
研究概要(2020)
本研究は、2016〜2018年度のAMED研究「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」の部分をなす疫学調査のコホート約1500名を引き継ぎ、1)学齢初期までの新規発症を調査し、累積発症率と発症や持続に関わる定性的要因を確定する、2)吃音の経過への関与が示唆されている要因について、吃音が回復した児と残存する児で比較調査して回復・持続関連要因を明らかにする、3)吃音のある児の治療ニーズを評価し、必要なリソースを推定することを目指す。また、4)世界的に有効性の高い治療法が確立していない学齢期(全学年)について、近年提案されている評価法と治療法の有効性の検証を行う。本年度は、1)吃音の有無と気質に関する調査を1回実施、2)・3)吃音持続群と消失群を対象に、直接評価(各種検査の実施)を2回実施、4)昨年度に作成した治験プロトコールを元に介入研究を開始する。吃音の総合的評価であるOASES-S質問紙の標準化については、データ収集を継続し、分析を開始する。
研究概要(2019)

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
(1)コホート調査
3歳児健診から追跡しているコホートで、1539人に質問紙を送付し、1130人の有効回答(73.4%)を得た。研究終了時に吃音症状が残っている者は18人であり、有症率は1.6%となった。満8歳までに85%以上の吃音が消失したことになる。

(2)対面調査
吃音の既往のある児と現在症状がある児を比較した。コロナ禍で辞退する症例もあり、最終的に9名の吃音が持続している児と、吃音が消失した対照9名を比較したところ、音韻操作能力(語の逆唱)において、吃音持続群の方が反応時間が有意に長かった。

(3)学齢期吃音の評価・治療法開発
1) OASES-S-J標準化
世界共通の吃音のある学童の心理評価質問紙OASES-S-Jの120名の結果の論文が学術誌に掲載された。

2) 学齢期吃音の治療の有効性を検証する介入研究
学齢期の吃音に効果があると想定される2つの方法(直接的発話指導と心理教育)の無作為割付スイッチオーバー比較介入研究を3施設において合計30名に実施した。コロナ禍のために一部で後半、あるいは終了後3ヶ月目の評価が未完了であるが、データ収集が終了した20名の暫定分析を実施したところ、前半の3ヶ月において、直接的発話指導群の吃音中核症状頻度の平均は19.95から9.65に減少し(p < 0.05)、心理教育群は平均23.38から17.95に減少した(p < 0.05)。

3) 通級指導教室担当教員及び言語聴覚士を介した在籍学級環境調整調査
通級指導教室担当教員及び言語聴覚士100名に、「子どもの吃音サポートガイド」(小林, 2019年)に基づき、(1)児童生徒が学校生活で抱える困難の実態調査と(2)『サポートガイド』の有効性についての調査を行い、(1)は99名、(2)は82名より回答があった。(1)困難場面で多かったのは、他の子どもからの指摘、新入学、進級時、音読、授業の発表、自己紹介、他の子どもからのからかい、日直当番などだった。(2)学校生活の困難で多かったのは、大勢の人の前で話す、他児が吃音を笑ったり真似したりからかったりするなどだった。

(4)幼児吃音臨床ガイドライン第1版の完成と公開
パブリック・コメントに対応する修正を行い、2021年9月30日に第1版を公開した。Mindsの基準に従った今後の改定は、日本吃音・流暢性障害学会のワーキンググループに移管した。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Iimura, Daichi, Ishida, Osamu, Takahashi, Saburo, Yokoi, Hideaki, Miyamoto, Shoko, A Questionnaire Survey About Support Requests From School-Age Children and Adolescents Who Stutter. Language, Speech, and Hearing Services in Schools, 52(2) 717-727. https://doi.org/10.1044/2020_LSHSS-20-00069 2021年4月

2.角田航平, 灰谷知純, 酒井奈緒美, 北條具仁, 小林宏明, 宮本昌子, 森浩一. 学齢期吃音児が抱える困難を包括的に評価する質問紙OASES-S-Jの標準化. コミュニケーション障害学, 2021; 38(2), 113-122. 2021年8月

3.Iimura, Daichi, Takahashi, Saburo, Fukazawa, Natsuki, Morita, Natsumi, Oe, Takuya, Miyamoto, Shoko. Effect of linguistic factors on the occurrence of stuttering-like disfluency among Japanese-speaking preschool children who stutter. Clinical Linguistics & Phonetics, 2021, 1-16. https://doi.org/10.1080/02699206.2021.2001048 2021年11月

4.Iimura, Daichi, Kakuta, Kohei, Oe, Takuya, Kobayashi, Hiroaki, Sakai, Naomi, Miyamoto, Shoko. Treatment for School-Age Children Who Stutter: A Systematic Review of Japanese Literature Language, Speech, and Hearing Services in Schools, 53(2), 561-583. https://doi.org/10.1044/2021_LSHSS-21-00044 2022年2月

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.角田航平, 灰谷知純, 小林宏明, 宮本昌子, 森浩一. 学齢期吃音児への介入方法の無作為化比較試験のプロトコル. 日本吃音・流暢性障害学会第9回大会, オンライン, 2021-08-30/09-06, 国内, ポスター

国内 / ポスター

2.飯村, 大智, 角田, 航平, 大江, 卓也, 小林, 宏明, 酒井, 奈緒美, 宮本, 昌子. 国内における学齢吃音児に対する介入方法について―システマティック・レビューによる検討― 日本特殊教育学会第59回大会 2021/09/18 , 国内, 口頭

国内 / 口頭

3.小林宏明, 吃音のある学齢児の在籍学級における環境調整, 日本コミュニケーション障害学会吃音および流暢性障害研究分科会ワークショップ, 2021/10/3, 国内, 口頭

国内 / 口頭

4.角田航平, 灰谷知純, 小林宏明, 宮本昌子, 森浩一, 学齢期吃音児に対する介入方法の無作為化比較試験のプロトコル, オンライン, 日本吃音・流暢性障害学会第10回大会, 2021/8/28~2021/9/13, 国内, ポスター

国内 / ポスター

「国民との科学・技術対話社会」に対する取り組み
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1.幼児吃音臨床ガイドラインについて, 森浩一, 高知大学耳鼻咽喉科・ST合同勉強会, 2021-04-13, 国内

国内

2.AMED研究の成果:「幼児吃音臨床ガイドライン 2021」を公開しました. 秋山一敏, 森浩一. 国立障害者リハビリテーションセンター プレスリリース, 2021/10/15. 国内

国内

3.「幼児吃音臨床ガイドライン」の作成と公開 (特集:国リハにおける吃音に関する取組み), 森浩一. 国リハニュース, 2022; 第370号(令和4年春号), pp. 2-3. 国内

国内

4.森浩一. KBS京都ラジオ: 幼児の吃音をよく知るための「ガイドライン」を公開しています. 笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ、ほっかほか今朝の聞くサプリ コーナー, 2022/03/25. 国内

国内



更新日:2024-10-10

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