AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
認知機能および主観的体験の改善を通じて社会機能の向上を目指した第2世代抗精神病薬持効性注射剤の用量最適化のエビデンス構築
課題管理番号
21dk0307089h0003
統合プロジェクト
ゲノム・データ基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
脳とこころの健康大国実現プロジェクト
事業名
障害者対策総合研究開発事業<精神障害分野> , 長寿・障害総合研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/臨床試験
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/精神および行動の障害
タグ(2020)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/精神および行動の障害
タグ(2019)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/精神および行動の障害
代表研究機関
学校法人慶應義塾
研究代表者
(2021) 竹内啓善 , 学校法人慶應義塾 , 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 専任講師
(2020) 竹内啓善 , 学校法人慶應義塾 , 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 助教
(2019) 竹内啓善 , 学校法人慶應義塾 , 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 助教
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 8,408
  • 2021年度
    4,092
  • 2020年度
    4,316
  • 2019年度
    0
研究概要(2021)
統合失調症の薬物療法において、抗精神病薬の持効性注射剤は服薬アドヒアランスを維持し、再発を防ぐための非常に有用な薬剤である。一方で抗精神病薬は、錐体外路症状などの多くの身体的な副作用や、認知機能障害、陰性の主観的体験を用量依存的に引き起こす。よって、認知機能や主観的体験の改善を通じて社会機能を向上するためには、再発を起こさない程度の用量まで抗精神病薬を減量すること、つまり抗精神病薬の用量最適化が求められる。そこで本研究では、52週間の多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行い、安定した統合失調症を対象に、第2世代抗精神病薬の持効性注射剤を50%または最小有効用量まで減量することにより、再発、認知機能、主観的体験、社会機能への影響を調べる。最終年度である当年度では、被験者の組み入れ、介入、評価の実施を進めながら、得られたデータの解析を行う。
研究概要(2020)
統合失調症の薬物療法において、抗精神病薬の持効性注射剤は服薬アドヒアランスを維持し、再発を防ぐための非常に有用な薬剤である。一方で抗精神病薬は、錐体外路症状などの多くの身体的な副作用や、認知機能障害、陰性の主観的体験を用量依存的に引き起こす。よって、認知機能や主観的体験の改善を通じて社会機能を向上するためには、再発を起こさない程度の用量まで抗精神病薬を減量すること、つまり抗精神病薬の用量最適化が求められる。そこで本研究では、52週間の多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行い、安定した統合失調症を対象に、第2世代抗精神病薬の持効性注射剤を50%または最小有効用量まで減量することにより、再発、認知機能、主観的体験、社会機能への影響を調べる。当年度では、被験者の組み入れ、介入、評価の実施を行う。
研究概要(2019)
統合失調症の薬物療法において、抗精神病薬の持効性注射剤は服薬アドヒアランスを維持し、再発を防ぐための非常に有用な薬剤である。一方で抗精神病薬は、錐体外路症状などの多くの身体的な副作用や、認知機能障害、陰性の主観的体験を用量依存的に引き起こす。よって、認知機能や主観的体験の改善を通じて社会機能を向上するためには、再発を起こさない程度の用量まで抗精神病薬を減量すること、つまり抗精神病薬の用量最適化が求められる。そこで本研究では、52週間の多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行い、安定した統合失調症を対象に、第2世代抗精神病薬の持効性注射剤を50%または最小有効用量まで減量することにより、再発、認知機能、主観的体験、社会機能への影響を調べる。当年度では、この臨床試験を実施するための研究体制の確立を行い、各実施施設における倫理審査を通過し次第、被験者の組み入れ、介入、評価の実施を行う。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
・研究代表者:竹内 啓善
最終年度である今年度は、目標登録症例数100名の登録に向け、研究対象者のリクルートに注力した。当初の計画では、初年度に50名、2年目に50名、合計100名の登録を予定していたが、初年度は倫理審査や研究体制の構築に時間を要し、2年目以降は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う非常事態宣言の影響により、多くの施設において研究実施が自粛されたため、研究対象者の登録が当初の予定より大幅に遅れた。結果として、目標症例数100名に対して、本事業終了時点で38名の登録にとどまった。
本研究に参加した38名のうち、52週間の追跡・評価が完了した症例は19名であり、5名は追跡期間中に脱落した。残る14名は現在も追跡・評価を継続している。脱落した5名の内訳は、研究参加への同意撤回が3名、入院が1名、死亡が1名であった。死亡した症例は、持病の身体疾患に起因するものであり、本研究との因果関係は否定されている。
追跡・評価を完遂した19名および脱落した5名の計24名の盲検化を解除し、中間解析を行なった。割り付けは用量減量群が11名、用量維持群が13名であり、脱落した症例は用量減量群が2名、用量維持群が3名であった。脱落率に2群間で有意差はなかった。全症例が統合失調症で、パリペリドンLAIの投与を受けていた。年齢、性別、罹病期間、治療期間、過去の入院回数、LAIの用量といった患者背景は、2群間で有意差はなかった。
各群ともに追跡期間中に再発した症例数は0名であった。精神症状(PANSS、BEPSD、CGI-S)、認知機能(BACS)、社会機能(PSP、SLOF)、主観的体験(SWNS、PDQ、VAS-DAS)、副作用(DIEPSS、UKU、血中プロラクチン濃度、体重)の経時的データについて、反復測定混合効果モデル(MMRM)を用いて解析を行なった。結果、すべてのアウトカムについて、用量減量群と用量維持群の間に有意差はなかった。なお、認知機能(BACS)については2群間で有意差はなかったものの、用量減量群において改善傾向が認められた。
以上はあくまで中間解析の結果であるが、少なくとも解析対象となった研究対象者は再発なく持効性注射剤の用量を減量できており、安定した統合失調症の持効性注射剤の用量減量は可能であるという我々の仮説を裏付ける結果であった。本事業終了後も、目標症例数である100名の登録を目指して本研究を継続する予定である。

・研究開発分担者:中島 振一郎
研究対象者のリクルートを行なった。

・研究開発分担者:野田 賀大
研究対象者のリクルートを行なった。

・研究開発分担者:高須 正太郎
研究対象者のリクルートおよびデータの解析を行なった。


更新日:2023-04-17

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