AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
致死性不整脈の原因心筋イオンチャネル遺伝子に同定されるVUSのハイスループット機能評価法に関する研究開発
課題管理番号
21kk0305011h0003
統合プロジェクト
ゲノム・データ基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
疾病克服に向けたゲノム医療実現プロジェクト
事業名
ゲノム創薬基盤推進研究事業 , ゲノム創薬基盤推進研究事業<旧ゲノム医療実用化推進研究事業>
タグ(2021)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/対象疾患/循環器系の疾患
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/再生医療等製品
/対象疾患/循環器系の疾患
タグ(2019)
/研究の性格/研究基盤及び創薬基盤の整備研究<創薬技術・ICT基盤・プラットフォーム関係含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/先天奇形,変形および染色体異常
代表研究機関
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
研究代表者
(2021) 蒔田直昌 , 国立研究開発法人国立循環器病研究センター , 研究所・副所長/創薬オミックス解析センター・センター長
(2020) 蒔田直昌 , 国立研究開発法人国立循環器病研究センター , 研究所・副所長/創薬オミックス解析センター・センター長
(2019) 蒔田直昌 , 国立研究開発法人国立循環器病研究センター , 研究所・副所長/創薬オミックス解析センター・センター長
データサイエンティスト
田中敏博 東京医科歯科大学 統合研究機構, 教授
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 117,000
  • 2021年度
    39,000
  • 2020年度
    39,000
  • 2019年度
    39,000
研究概要(2021)
次世代シークエンサーの普及にともない、遺伝性不整脈においても意義づけができない低頻度のバリアント(VUS)が急激に増えている。一方、VUSの機能予測プログラムはいくつか開発されているが、実験による機能分類に比べて信頼性は確立していない。本研究では、致死性不整脈の主要な心筋イオンチャネル遺伝子KCNH2, SCN5Aに焦点を当て、ClinVarおよび我々が蓄積した日本人致死性不整脈網羅的遺伝子解析データベースからVUSを抽出し、その発現プラスミドを作成開始した。2020年に導入したオートパッチクランプを用いてこれらのチャネル機能をハイスループットで解析し、VUSに機能的アノテーションを加え、データベース化し公開する。
研究概要(2020)
次世代シークエンサーの普及にともない、遺伝性不整脈においても意義づけができない低頻度のバリアント(VUS)が急激に増えている。一方、VUSの機能予測プログラムはいくつか開発されているが、実験による機能分類に比べて信頼性は確立していない。本研究では、致死性不整脈の主要な心筋イオンチャネル遺伝子KCNH2, SCN5Aに焦点を当て、ClinVarおよび我々が蓄積した日本人致死性不整脈網羅的遺伝子解析データベースからVUSを抽出し、その発現プラスミドを作成開始した。2020年に導入したオートパッチクランプを用いてこれらのチャネル機能をハイスループットで解析し、VUSに機能的アノテーションを加え、データベース化し公開する。
研究概要(2019)
次世代シークエンサーの普及にともない、これらの不整脈においても、意義づけができない低頻度のバリアント(VUS)が急激に増えている。一方、VUSの機能予測プログラムはいくつか開発されているが、実験による機能分類に比べて信頼性は確立していない。本研究では、致死性不整脈の主要な3つの心筋イオンチャネル遺伝子であるKCNQ1, KCNH2, SCN5A のうち後者2遺伝子に焦点を当て、日本人致死性不整脈のデータベースからVUSを抽出し、その発現プラスミドを作成する。これらのVUSチャネル機能異常をハイスループットで検証するために全自動記録するオートパッチクランプを用いる。オートパッチの機能解析情報をもとにVUSに機能的アノテーションを加え、データベース化・公開することで臨床にフィードバックする。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
本年度の目標は、①Brugada症候群(BrS)の主要疾患遺伝子SCN5Aの変異と予後に関して、VUSの機能評価が予後予測能を向上させるか否かを明らかにする、②致死性不整脈に関連する心筋イオンチャネルVUSをハイスループットに機能評価する解析系を確立する、の二点だった。

1. BrSの予後を決定する遺伝的要因
415人の日本人BrS患者の遺伝子解析によって、機能不明のVUS (variant of unknown significance) 22個を含む55個のSCN5A 変異が同定された。文献調査とパッチクランプ法による機能解析を行って、これらの変異を機能低下型変異(n=45)と非機能低下型バリアント(n=10)に分類し、長期生命予後を比較した。致死性不整脈の年間発生率は、SCN5A変異陽性患者全体で5.1%であるのに対して、機能低下型SCN5A変異を持つ患者は 7.9%、持たない患者は2.1%と、機能低下型SCN5A変異の予後が有意に不良であることが判明した。
またSCN5A変異陰性の別のBrS患者群で全エクソン解析を行い、SCN5A以外のBrS関連22遺伝子におけるレアバリアント(頻度 <1%)の有無でKaplan-Meier解析を行ったところ、SCN5A以外のレアバリアントは致死性イベントの発生に影響を与えないことが判明した。
以上の結果から、機能低下型SCN5A変異が突然死の確実な遺伝的リスクであり、SCN5A-VUSの機能解析が遺伝的リスク評価を可能にすることを解明した。 (Ishikawa et al. Eur Heart J, 2021)。

2. 心筋イオンチャネルVUSのハイスループット機能評価
BrSやQT延長症候群(LQTS)の原因遺伝子であるSCN5AとKCNH2のVUSに対するハイスループット機能評価系を確立するために、細胞として浮遊細胞FreeStyle 293-Fを、ベクターには高効率トランスポゾン発現ベクター(PB-CMV-MCS-EF1α-GreenPuro)を用いた一過性発現系、測定系として8チャネルオートパッチPatchlinerとperforated patch clamp法による全細胞電流の測定系を確立した。

(1)SCN5A
AMED研究班内またはClinVarに登録された102個のVUSのうち、これまで論文未報告の75個のミスセンスVUSを機能解析の対象とし、オートパッチクランプで全細胞Na電流を計測した。その結果、正常SCN5Aと比較してピーク電流密度が有意に低下する機能低下型変異は15個で、それ以外のバリアントには統計学的有意差はなかった。SCN5AのVUS解析のスループットを計算すると、オートパッチはマニュアルパッチの約6倍で、ハイスループット機能解析の手法が確立したと考えられる。しかし、オートパッチは電流値にばらつきが多いと欠点がある。

(2)KCNH2
日本人LQTSのVUSで、論文報告がなく、複数の発端者に認められた47個を機能解析の対象とし、変異KCNH2プラスミドを作成した。マニュアルパッチクランプで機能低下がすでに確認されているLQTSの既知の機能低下型KCNH2変異(A614V)とQT短縮症候群の機能亢進型KCNH2変異(I560T, N588K)をポジティブコントロールとした。しかしKCNH2の電流密度値はばらつきが大きく、18個解析したKCNH2バリアントの中で有意に電流密度が低下したものは3個のみでだった。機能解析を行ったが、16個が電流値低下、2個が電流値上昇を示したが、有意差を認めたのはN558K変異1個のみだった。その他の変異は、解析中にパッチが外れるなど測定効率が悪く、吸引圧力・穿孔サイズ・内液組成を変更しても改善しなかった。ポジティブコントロール(A614V, I560T, N588K)にも有意差を認めず、オートパッチクランプの持つ欠点と考えられる。我々は8-wellのオートパッチを用いたが、他の研究チームの論文を見ると384-wellオートパッチを用いているものが多く、KチャネルVUS解析については8-wellオートパッチの限界と考えられる。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Ishikawa T, Kimoto H, Mishima H, Yamagata K, Ogata S, Aizawa Y, Hayashi K, Morita H, Nakajima T, Nakano Y, Nagase S, Murakoshi N, Kowase S, Ohkubo K, Aiba T, Morimoto S, Ohno S, Kamakura S, Nogami A, Takagi M, Karakachoff M, Dina C, Schott JJ, Yoshiura KI, Horie M, Shimizu W, Nishimura K, Kusano K, Makita N, Functionally validated SCN5A variants allow interpretation of pathogenicity and prediction of lethal events in Brugada syndrome. Eur Heart J, 2021; 42(29):2854-2863. doi: 10.1093/eurheartj/ehab254. PMID: 3421913

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.Risk stratification and Gene-guided treatment in patients with Long QT syndrome, Aiba T, Taiwan Heart Rhythm Society 2022 Electrophysiology in Post-Pandemic Era, 2022/3/19, Web, 国外, 口頭.

国外 / 口頭

2.A novel mechanism of inherited sudden cardiac death syndrome with sinus node dysfunction: intergenic deletion between PITX2-ANK2 disrupts chromatin structure, Murata H, 第86回日本循環器学会学術集会, 2022/3/13, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

3.バイオインフォマティクスを用いた遺伝性不整脈の新規発症機序の解明-PITX2-ANK2遺伝子間領域の欠失によるクロマチン構造変化と洞機能不全の発症, 村田広茂, CVMW2021‐心血管代謝週間, 2021/12/11, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

4.次世代シークエンサーを用いた歌舞伎症候群の新規DNAメチル化サイトの検索(identification of characteristic DNA methylation sites in Kabuki syndrome using next generation sequencer), 濵口陽, 三嶋博之, 河合智子, 斎藤伸治, 秦健一郎, 木下晃, 吉浦孝一郎, 日本人類遺伝学会第66回大会/第28回日本遺伝子診療学会大会合同開催, 2021/10/13-16, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

5.特発性心筋症の遺伝学的検査に基づいた治療戦略, 大野聖子, 第25回日本心不全学会, WEB, 2021/10/2, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

6.Brugada Syndrome Risk Prediction, Makita N, Taiwan Heart Rhythm Society Autumn Forum, WEB, 2021/9/25, 国外, 口頭.

国外 / 口頭

7.網羅的遺伝子解析と不整脈研究の進歩, 蒔田直昌, 第57回日本小児循環器学会学術集会, WEB, 2021/7/9, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

8.Genomics of Arrhythmias, 田中敏博, 第67回日本不整脈心電学会学術大会, WEB(東京配信), 2021/7/3、国内, 口頭.

国内 / 口頭

9.Brugada症候群の突然死リスクを遺伝的にどう評価するか, 蒔田直昌, 第67回日本不整脈心電学会学術大会, WEB(東京配信), 2021/7/2, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

10.Functionally Validated SCN5A Variants Allow Interpretation of Pathogenicity and Prediction of Lethal Events in Brugada Syndrome, Makita N, 第67回日本不整脈心電学会学術大会, WEB(東京配信), 2021/7/1, 国内, 口頭.

国内 / 口頭

11.Genetic basis sudden cardiac death in Japan, Aiba T, Korean Heart Rhythm Society 2021(Virtual), 2021/6/,3国外, 口頭.

国外 / 口頭

12.Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy, Ohno S, European Heart Rhythm Association meeting 2021, WEB, 2021/4/23, 国外, 口頭.

国外 / 口頭

13.Prediction of Sudden Cardiac Death by Comprehensive Genetic Screening, Aiba T, European Society of Cardiology 2021, Web, 2021/4/23, 国外, 口頭.

国外 / 口頭



更新日:2023-04-17

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