AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
肝炎ウイルスの感染複製増殖と病原性発現を阻止するための基盤的研究とその応用のための基盤的開発
課題管理番号
21fk0210053j0003
統合プロジェクト
疾患基礎研究プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
その他
事業名
肝炎等克服実用化研究事業 , 感染症実用化研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2020)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2019)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/感染症および寄生虫症
代表研究機関
国立感染症研究所
研究代表者
(2021) 村松正道 , 国立感染症研究所 , ウイルス第二部・部長
(2020) 村松正道 , 国立感染症研究所 , ウイルス第二部・部長
(2019) 村松正道 , 国立感染症研究所 , ウイルス第二部・部長
データサイエンティスト
村松正道 国立感染症研究所, ウイルス第二部 部長 杉山真也 国立国際医療研究センター, 副プロジェクト長
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 133,800
  • 2021年度
    44,600
  • 2020年度
    44,600
  • 2019年度
    44,600
研究概要(2021)
B型肝炎ウイルス (HBV)感染に伴って変化するウイルスと宿主側のゲノム変化を解析する。特にHBVウイルスゲノムの宿主ゲノムへの挿入現象に着目する。このウイルスゲノム挿入は検出が難しく解析も困難を極めるので、本研究では効率よく検出できる方法を開発することを目指す。昨年度は定性的にはRAISE法が使用可能であることがわかったので、今年度は実際の実験条件でこれを行う。若手リサレジのテイ博士とA型肝炎ウイルスの複製を阻害する小分子の同定を行なっている。いくつかのhit があるので、それらの阻害作用点を確認する。また、抗ウイルス剤の基盤的シーズになりうるかを検討し、また作用する標的を介してウイルス複製を解析する。
研究概要(2020)
B型肝炎ウイルス (HBV)感染に伴って変化するウイルスと宿主側のゲノム変化を解析する。特にHBVウイルスゲノムの宿主ゲノムへの挿入に着目する。HBV hybrid captureと次世代シークエンシングを組み合わせた従来法とRAIS法を駆使して特にHBV側はHBV X遺伝子、宿主側はTERTやp53の遺伝子座挿入の解析を進めたい。このゲノム挿入頻度が感染動態でどう変わるか検討予定である。また若手リサレジのテイ博士とA型肝炎ウイルスの複製を阻害する小分子のスクリーニングを進める。昨年度構築したルシフェラーゼを内包するA型肝炎ウイルスを細胞に感染する系を用い、小分子のスクリーニングを行う。いくつかのhit があるので、それらの2次スクリーニングをする。抗ウイルス剤の開発を目指し、またその抗ウイルス剤の標的を探索することでウイルス複製機構の解析を行う。
研究概要(2019)
B型肝炎が起こす最も重い病態として、肝硬変や肝細胞癌があるが、その病態が形成される根底は、B型肝炎ウイルスの遺伝子の恒常的発現があげられる。その恒常的発現の分子機構としてウイルスゲノムDNAの宿主ゲノムへの挿入がある。しかしこの挿入がどのような分子機構で起こっているかはほとんど研究されていない。本研究では、B型肝炎の感染時やがん化に伴って蓄積するゲノム変化(特にウイルスゲノム挿入)を高感度で検出する方法を開発する。それを用いてゲノム変化が起こるメカニズムを解析しゲノム変化とがん化との関係性を調査する。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
本研究班では、ウイルス性肝炎に関して感染複製機構と病原性発現機構の解明、新規診断法や治療薬および予防法の開発につなげることを目標にして、そのための基盤研究を実施した。2021年度は次に挙げる成果が得られた。
勝二、森川、福原らは、培養細胞系を用いて、病態形成におけるそれら宿主因子の役割を解析している。今年度は、それぞれHCV複製に関与する新規miRNAの同定、HCVウイルス粒子形成・放出におけるROS/JNK/Itch経路の役割解明、IFN治療およびIFNフリー治療によるHCV cured cellsを作成した。HCV排除後の肝細胞リモデリングは、治療法により宿主因子やシグナル経路の回復が異なる可能性が示唆された。A型肝炎ウイルスのウイルスゲノム核酸のGC含有率の解析で進捗があった。政木らは独自に開発した網羅的なスクリーニング法を用いて、HCVの感染複製増殖および病原性発現に関与するmiR-122以外の新規miRNAの同定を試み、HCVの感染複製増殖を制御する複数種類の新規miRNAを同定した。また村松、加藤、土方らは、ウイルス配列やその変化、複製能やガン形成との関係性を培養細胞にて明らかにすることを目標としている。村松のゲノム挿入機構の解析方法の確立のための研究では、HBVと宿主ゲノムの接合点を検出する手法を既存の方法より、簡便に迅速に検出する方法の基盤開発にて進展が見られた(村松)。長期培養系におけるHCV変異動態の解析では、蓄積した変異ゲノム配列のアッセイ系として不死化ヒト肝細胞株を用いた評価系が構築できた。野生型HCV1b株の培養系はウイルス側と細胞側の規定要因の解析が進んだ。鈴木、杉山(真)は、個体レベルでの肝炎病態モデル作成や病態発生機構解析を行っている。今年度はヒト肝キメラマウスにおける繊維化病態を解析して、腸内細菌叢の違いによって、肝線維化の進展度にも違いが認められ、肝線維化の進展に相関する新規細胞集団を同定し、さらに単細胞RNAseq法にて発現解析を行い、この細胞集団が創薬標的の可能性があることを示唆した。森石、脇田、李らは、げっ歯類動物を用いた、HCVやHEVのサロゲート感染動物モデルの構築やワクチン開発を取り組み、ラットへパシウイルスの感染モデルの構築に成功し、同時に準備を進めているHCVナノパーティクルによるワクチンの効果検証を進めている。E型肝炎開発では、開発したVLPワクチンが、複数の遺伝子型HEVで肝炎発症阻止できることをサル動物モデルで明らかにした。またリバースジェネッティックス法を用いて新型E型肝炎ウイルスを作成した。村松、杉山(隆)は、経口肝炎ウイルスの抗ウイルス薬の開発を目指し、前年度に同定した複数のリード薬の論文化作業に入った。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Xin Zheng, Rui Guo, Qingbo Liu, Kousho Wakae, Noriyuki Watanabe, Kento Fukano, Lusheng Que, Yingfang Li, Hussein H. Aly, Koichi Watashi, Ryosuke Suzuki, Asako Murayama, Takanobu Kato, Hideki Aizaki, Takaji Wakita, Xiaoxiao Huang, Yi Yan, Shao-Jiang Song, Masamichi Muramatsu. Biochemical and Biophysical Research Communications. 567 (2021) 1e8.

2.Han Zhang*, Xin Zheng*, Jichong Li, Qingbo Liu, Xiao-Xiao Huang, Huaiwei Ding, Ryosuke Suzuki, Masamichi Muramatsu, Shao-Jiang Song. European Journal of Medicinal Chemistry. 218 (2021) 113395.

3.Activities of endogenous APOBEC3s and uracil-DNA-glycosylase affect the hypermutation frequency of hepatitis B virus cccDNA Kouichi Kitamura 1, Kento Fukano 1, Lusheng Que 1, Yingfang Li 1, Kousho Wakae 1, Masamichi Muramatsu 1 J Gen Virol. 2022 Apr;103(4). doi: 10.1099/jgv.0.001732.

4.NTCP oligomerization occurs downstream of the NTCP-EGFR interaction during hepatitis B virus internalization. Fukano K, Oshima M, Tsukuda S, Aizaki H, Ohki M, Park SY, Wakita T, Wakae K, Watashi K, Muramatsu M. J Virol. 2021 Oct 6:JVI0093821. doi: 10.1128/JVI.00938-21. Online ahead of print.PMID: 34613794

5.Immunogenicity and Antigenicity of Rabbit Hepatitis E Virus-Like Particles Produced by Recombinant Baculoviruses Bai H, Kataoka M, Ami Y, Suzaki Y, Takeda N, Muramatsu M, Li TC. Viruses. 2021 Aug 9; 13 (8):1573. Doi:10.3390/v13081573.

6.Lin Deng, Yujiao Liang, Adi Ariffianto, Chieko Matsui, Takayuki Abe, Masamichi Muramatsu, Takaji Wakita, Masatoshi Maki, Hideki Shibata, Ikuo Shoji Hepatitis C Virus-Induced ROS/JNK Signaling Pathway Activates the E3 Ubiquitin Ligase Itch to Promote the Release of HCV Particles via Polyubiquitylation of VPS4A 2022 Volume 96 Issue 6 e01811-21

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.Xin Zheng, Masamichi Muramatsu, et al. Identification of New flavonoid hybrids as potent anti-hepatitis A virus agents. 日本薬学会第142年会.

不明 / 

2.Xin Zheng, Masamichi Muramatsu, et al. A型肝炎ウイルスにおける新規抑制剤の開発. 第68回日本ウイルス学会学術集会.

不明 / 



更新日:2024-10-10

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