AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

> 課題検索詳細

研究課題情報

研究課題名
難治性がんを対象とした新規抗体医薬品の開発研究
課題管理番号
21cm0106152h0003
統合プロジェクト
医薬品プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト
事業名
次世代がん医療創生研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
タグ(2019)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
代表研究機関
国立大学法人大阪大学
研究代表者
(2021) 菊池章 , 国立大学法人大阪大学 , 大学院医学系研究科・教授
(2020) 菊池章 , 国立大学法人大阪大学 , 大学院医学系研究科 教授
(2019) 菊池章 , 国立大学法人大阪大学 , 大学院医学系研究科 教授
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 56,240
  • 2021年度
    18,620
  • 2020年度
    18,620
  • 2019年度
    19,000
研究概要(2021)
1. 抗CKAP4抗体の適応拡大の評価 ヌードマウスの肺がん細胞株による腫瘍形成に対する抗CKAP4抗体の抗腫瘍効果を確定する。肝細胞がん臨床検体を用いてDKK1、DKK3ならびにCKAP4の発現と悪性度との関連を明らかにして、肝細胞がん細胞株に対する抗CKAP4抗体の抗腫瘍効果を確定する。2. 抗CKAP4抗体の用量、用法、安全性の評価 皮下腫瘍形成に対して、抗CKAP4抗体と既存の抗がん剤を同時に投与して抗腫瘍効果を判定する。開発済みの、血清CKAP4を測定できるELISAにより、膵がんおよび肺がん患者の血清CKAP4を測定して、健常人血清と比較して血清CKAP4が高値であることを明らかにする。3. マウス発がんモデルとオルガノイド培養を用いた抗CKAP4抗体の評価 抗CKAP4抗体によるin vivoでのがん細胞増殖抑制効果を検証するため、新規のマウス発がんモデルとヒト由来オルガノイド培養を用いて、抗CKAP4抗体によるがん増殖抑制効果の評価を行う。
研究概要(2020)
膵がん以外のがん種におけるCKAP4およびDKK1の発現を解析し、両タンパク質の発現症例がそれ以外の症例に比べて予後不良であることを明らかにする。さらに、複数種類のがん細胞株におけるDKK1と細胞膜上CKAP4の発現を解析し、ともに高発現である細胞株を同定する。抗CKAP4抗体と既存の抗がん剤の併用投与が、がん細胞株の皮下腫瘍形成を各々の単剤投与に比べて、より強力に抑制可能なことを明らかにする。抗CKAP4抗体を正常マウスに半年以上投与して、異常のないことを確認し安全性を評価する。ELISAにより複数のがん種、および健常人の血清CKAP4を測定する。抗CKAP4抗体によるin vivoでのがん細胞増殖抑制効果を検証するため、がんマウスモデルのDKK1およびCKAP4の発現を確認し、抗体評価に十分な個体数を得るための交配を行う。ヒト正常組織オルガノイド培養系を確立し、DKK1とCKAP4の発現を確認し、さらに両タンパク質を発現させることにより、がん様オルガノイドを作製する。
研究概要(2019)
膵がん以外のがん種におけるCKAP4およびDKK1の発現を解析し、両タンパク質の発現症例がそれ以外の症例に比べて予後不良であることを明らかにする。さらに、複数種類のがん細胞株におけるDKK1と細胞膜上CKAP4の発現を解析し、ともに高発現である細胞株を同定する。抗CKAP4抗体と既存の抗がん剤の併用投与が、がん細胞株の皮下腫瘍形成を各々の単剤投与に比べて、より強力に抑制可能なことを明らかにする。抗CKAP4抗体を正常マウスに半年以上投与して、異常のないことを確認し安全性を評価する。ELISAにより複数のがん種、および健常人の血清CKAP4を測定する。抗CKAP4抗体によるin vivoでのがん細胞増殖抑制効果を検証するため、がんマウスモデルのDKK1およびCKAP4の発現を確認し、抗体評価に十分な個体数を得るための交配を行う。ヒト正常組織オルガノイド培養系を確立し、DKK1とCKAP4の発現を確認し、さらに両タンパク質を発現させることにより、がん様オルガノイドを作製する。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
「抗CKAP4 抗体の適応拡大の評価」では、in vitro の実験系において抗CKAP4 抗体は、肝がん細胞株に対して、レンバチニブとの併用により相加的な抗腫瘍効果を示した。肝細胞がん細胞株をマトリゲルとともに肝臓に移植するマウス原発性肝がんモデルを作成し、抗CKAP4 抗体を腹腔内投与したが、抗腫瘍効果が確認できなかった。しかし、CKAP4 を発現抑制することにより、抗腫瘍効果を確認できた。AMED 橋渡し研究(プレB)からの支援も加えて、マウス抗CKAP4 抗体をもとにヒト化抗CKAP4 抗体を作製した。これらの成果により、橋渡し研究(シーズB)において、ヒト化抗体の開発に関する研究を継続できるようになった。
「抗CKAP4 抗体の用量、用法、安全性の評価」では、これまでゼノグラフト腫瘍形成に対する薬効を評価する際に、抗CKAP4 抗体を腹腔内に投与していたが、膵がん細胞株S2CP8 によるゼノグラフト腫瘍形成に対して、抗CKAP4 抗体を静脈投与(眼窩底静脈)しても腫瘍形成を阻害した。肺がん92 症例中の術前血清と性別、年齢をマッチさせた健常人血清92 例と比較したところ、免疫染色CKAP4 陽性例における血清CKAP4 値陽性例は、免疫染色CKAP4 陰性例における血清CKAP4 値陽性例よりも割合が高かった。また、術前血清CKAP4 値が高値の肺がん患者において、術後血清でCKAP4 値が低下した。すでに報告している膵がん症例の血清CKAP4 値のデータと合わせて、抗CKAP4 抗体が治療に有効と考えられるがん患者を選択できる血清マーカー(コンパニオン診断)になると考えられた。
一方、免疫チェックポイント阻害剤との併用効果検証も検討内容に加えていたが、マウス腫瘍細胞においてDKK1 は腫瘍促進作用を有さないと考えられた。複数のマウス肺がん細胞株においてDKK1 の高発現は認められず、2 種類のマウス非小細胞肺がん細胞株を野生型マウスに同所移植し、ドキシサイクリン依存性にDKK1 を発現させても腫瘍増殖亢進は認められなかった。このため、野生型マウスを用いた免疫チェックポイント阻害剤との併用実験を行うことができなかった。
「マウス発がんモデルとオルガノイド培養を用いた抗CKAP4 抗体の評価」においては、トランスポゾンベクターを用いたハイドロダイナミック尾静脈注入により肝細胞に安定型β-カテニンとc-Met を発現して、肝がんを作製する実験系(BM モデル)をすでに確立していた。BM モデルに対して、さらにDKK1 とCKAP4 を遺伝子導入したモデル(BMDC モデル)は、BM モデルより早期に、肝内に多発腫瘍形成を認めたことから、DKK1 およびCKAP4 の過剰発現がマウス肝がんモデルにおいて腫瘍促進的に働くことが示された。
加えて、c-Met の発現とp53 のノックダウンにより肝腫瘍を作製することが可能となった。さらに、マウス膵がん(PDX1-cre/KrasG12D +/- /Trp53 lox/lox )から樹立したオルガノイドとマウス肺がん細胞株にドキシサイクリン依存性にDKK1 を発現する実験系を作製し、オルガノイドまたは肺がん細胞をマウスの同所に移植するモデルを確立した。
学会誌・雑誌等における論文一覧
  • ◀◀
  • 1
  • ▶▶

1.Kimura, H., Sada, R., Takada, N., Harada, A., Doki, Y., Eguchi, H., Yamamoto, H., Kikuchi, A.The Dickkopf1 and FOXM1 positive feedback loop promotes tumor growth in pancreatic and esophageal cancers. Oncogene, 40(26), 4486-4502, 2021. PMID: 34117362. DOI: 10.1038/s41388-021-01860-z

2.Miyachi, Y., Nishio, M., Otani, J., Matsumoto, S., Kikuchi, A., Mak TW, Maehama T, Suzuki A.TAZ inhibits acinar cell differentiation but promotes immature ductal cell proliferation in adult mouse salivary glands. Genes to Cells. Genes Cells, 26(9), 714-726, 2021. PMID: 34142411. DOI:10.1111/gtc.12879

3.Shiimori M, Yu Ichida, Ryota Nukiwa, Toshie Sakuma, Haruka Abe, Rei Kajitani, Yuji Fujino,Akira Kikuchi, Takeshi Kawamura, Tatsuhiko Kodama, Shinichi Toyooka, Katsuhiko Shirahige,Gunnar Schotta, Keiji Kuba, Takehiko Itoh, and Yumiko Imai. Suv4-20h2 protects against influenza virus infection by suppression of chromatin loop formation. iScience, 24(6), 102660.2021. PMID: 34169237. DOI: 10.1016/j.isci.2021.102660

4.Hasegawa, K., Fujii, S., Matsumoto, S., Tajiri, Y., Kikuchi, A., Kiyoshima, T. YAP signaling induces PIEZO1 to promote oral squamous cell carcinoma cell proliferation. J. Pathol., 253(1),80-93, 2021. PMID: 32985688. DOI: 10.1002/path.5553

5.Alcantara, MC., Suzuki, K., Acebedo, AO., Sakamoto, Y., Nishita, M., Minami, Y., Kikuchi, A.,Yamada, G. Stage-dependent function of Wnt5a during male external genitalia development.Congenit Anom., 61(6), 212-219, 2021. PMID: 34255394. DOI: 10.1111/cga.12438

6.Harada, A., Matsumoto, S., Yasumizu, Y., Shojima, K., Akama, T., Eguchi, H., Kikuchi, A.Localization of KRAS downstream target ARL4C to invasive pseudopods accelerates pancreatic cancer cell invasion. eLife, 10, e66721, 2021. PMID: 34590580. DOI: 10.7554/eLife.66721

7.Fujii, S., Ishibashi, T., Kokura, M., Fujimoto, T., Matsumoto, S., Shidara, S., Kurppa, K. J., Pape,J., Caton, J., Morgan, P. R., Heikinheimo, K., Kikuchi, A., Jimi, E., & Kiyoshima, T. RAF1-MEK/ERK pathway-dependent ARL4C expression promotes ameloblastoma cell proliferation and osteoclast formation. J. Pathol., 256(1), 119-133, 2021. PMID: 34622442. DOI:10.1002/path.5814

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
  • ◀◀
  • 1
  • ▶▶

1.原田昭和, 松本真司, 菊池章. RAS 下流のエフェクター分子ARL4C を標的とした膵癌の浸潤転移の制御. 日本癌学会学術総会. 2021 年10 月1 日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

2.松本真司, 瀬田みなみ, 福本巧, 菊池章. Wnt 標的遺伝子GREB1 の組織特異的発現制御と肝細胞がんの増殖制御機構. 第94 回日本生化学会大会. 2021 年11 月3 日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

3.佐田 遼太, 木村 公一, 高田 直季, 山本 英樹, 菊池 章. 膵がん・食道扁平上皮がんにおけるDKK1 とFOXM1 のポジティブフィードバック発現制御を介した腫瘍増殖促進メカニズムの解析. 第94 回日本生化学会大会. 2021 年11 月3 日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

4.名越 章裕, 佐田 遼太, 木村 公一, 山本 英樹, 菊池 章. 肺がんにおけるCKAP4 タンパクのエクソソーム分泌機構の解析および肺がん患者血清中CKAP4 タンパク濃度の測定. 第94 回日本生化学会大会.2021 年11 月3 日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

5.原田武志, 原田昭和, 香山尚子, 佐藤朗, 菊池章. AOM/DSS 大腸がんマウスモデルにおけるWnt5a 発現線維芽細胞サブセットの同定. 第44 回日本分子生物学会年会. 2021 年12 月3 日. 国内, ポスター.

国内 / ポスター

6.新澤康英, 松本真司, 種村篤, 横井一範, 藤本学, 二村圭祐, 曽我朋義, 菊池 章. GREB1 isoform 4 はピリミジン合成を介して悪性黒色腫細胞の増殖能を促進する. 第44 回日本分子生物学会年会. 2021 年12月3 日. 国内, ポスター.

国内 / ポスター

7.菊池 章. Wnt signaling and Cancer. Notch シグナル研究会2022. 2022 年1 月18 日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

8.菊池 章. Wnt シグナル研究を基盤とした新規抗がん剤開発への挑戦. 千里ライフサイエンス新適塾「難病への挑戦」第49 回. 2022 年2 月21. 国内, 口頭.

国内 / 口頭



更新日:2023-04-13

TOPへ