AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
HIVゲノム・宿主ゲノム等のデータベース構築・公開に向けた体制整備のための研究
課題管理番号
20fk0410029j0002
統合プロジェクト
疾患基礎研究プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
その他
事業名
エイズ対策実用化研究事業 , 感染症実用化研究事業
タグ(2020)
/研究の性格/調査等の解析による実態把握を目指す研究<フィールドワーク、サーベイランス、モニタリングを含む>
/開発フェーズ/観察研究等
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2019)
/研究の性格/調査等の解析による実態把握を目指す研究<フィールドワーク、サーベイランス、モニタリングを含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
代表研究機関
国立感染症研究所
研究代表者
(2020) 椎野禎一郎 , 国立感染症研究所 , エイズ研究センター第二研究グループ 主任研究官
(2019) 椎野禎一郎 , 国立感染症研究所 , 感染症疫学センター・主任研究官
データサイエンティスト
椎野禎一郎 国立感染症研究所 感染症疫学センター, 主任研究官 蜂谷敦子 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 臨床研究企画管理部, 室長
研究期間
2019年度-2020年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 10,930
  • 2020年度
    5,420
  • 2019年度
    5,510
研究概要(2020)
HIV感染例のHIVゲノム情報・宿主遺伝子情報・臨床情報のデータベース(DB)化は、発生動向の把握・感染拡大の抑制、病態把握・発症予防の研究などを促進しHIV対策への寄与が期待されるが、同時に倫理的・法的・社会的な観点から多くの課題がある。わが国では、2つの先行研究によって、HIV感染例の臨床・ウイルスゲノム情報および一部の感染者のHLA・関連ヒトゲノム・常在微生物ゲノム情報がDB化されている。その情報の一部は、変異情報の集計としてMGeND等の公的データベースに非制限公開されているが、症例情報・ゲノム解析結果の公開・共有はされていない。本研究は、国内HIV臨床ゲノム情報の共有・公開のための運用体制の整備を目指し、HIV臨床ゲノム班で開発されたDBのデータ公開に伴う課題を検討する。今年度は、昨年行った各機関における患者同意文書の差異や、機関における倫理関連の対応状況の調査を踏まえ、開発中のデータストレージに症例ごとの公開・共有レベルを追加するとともに、医療機関・患者・当事者にHIV感染者のゲノム情報の二次利用について広く情報提供を行ったうえで意見を聴取し、感染者ゲノムの二次利用のあるべき形を探る。また、同様の症例・ゲノム情報を保有する海外のDBのなかで情報の公開・活用を実現しているものについて引き続き調査を行う。
研究概要(2019)
HIV感染例のHIVゲノム情報・宿主遺伝子情報・臨床情報のデータベース(DB)化は、発生動向の把握・感染拡大の抑制、病態把握・発症予防の研究などを促進しHIV対策への寄与が期待されるが、同時に倫理的・法的・社会的な観点から多くの課題がある。わが国では、2つの先行研究によって、HIV感染例の臨床・ウイルスゲノム情報および一部の感染者のHLA・関連ヒトゲノム・常在微生物ゲノム情報がDB化されている。その情報の一部は、変異情報の集計としてMGeNDやAGDなどの公的データベースに公開されているが、症例そのものの情報公開はされていない。本研究は、国内HIV臨床ゲノム情報の共有・公開のための運用体制の整備を目指し、HIV臨床ゲノム班で開発されたDBのデータ公開に伴う課題を検討する。今年度は、先行研究のDBの構造調査・患者同意事項に沿った公開・非公開情報のフラグを追加できるようなDBの再設計を行うとともに、関係機関や患者・当事者に広く意見聴取することで、公開のための課題がなにかを調査する。また、同様の症例・ゲノム情報を保有する海外のDBのなかで情報の公開・活用を実現しているものについて調査を行う。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
本研究は我が国におけるHIV臨床ゲノム情報の公開データベースの体制整備を目的として、HIV耐性班が収集した患者・ウイルスゲノム情報を共有するために先行研究の臨床ゲノムプロジェクト・HIV臨床ゲノム班で開発されたDB(臨床ゲノムDS)にその情報の一部を転写するためのパイプラインの確立と、これを公開するにあたっての課題をELSI(Ethical, Legal and Social Issues)研究者・HIV基礎研究者・疫学研究者・ゲノム研究者・医療関係者・検査会社関係者・データベース構築専門家・NGO団体関係者等よりなるグループで明らかにすることを目指している。今年度は、HIV臨床ゲノムプロジェクトおよびHIV耐性班で集められた臨床・ウイルス・ゲノムデータを集約し、二次利用へのパイプラインとなるDSを完成させた。これは、我が国のHIV感染者の症例・ウイルスゲノム・HLA・疾患関連ゲノム情報をHIV関連研究者・疫学研究者・予防対策に係る専門部局等へ安定的に共有するための基盤となる。DSにある症例について薬剤耐性班に検体・情報を送付したことのある医療機関の協力を得てその倫理審査状況を調査したところ、1,192検体については既に臨床ゲノムの共有に関して同意が取れており、5,526症例については臨床ゲノムの二次利用の際にHIV耐性班での再同意が必要であることがわかった。さらに、当事者等との協議を進め、HIV感染者の宿主ゲノムの二次利用にはスティグマと差別の問題に十分に配慮する必要があり、個人識別子として使われる懸念があれば二次利用はできないこと、ウイルスゲノム配列の公開は伝播クラスタ解析が当事者グループの不利益につながることに配慮すること、等の共有に関する制約を見いだした。これらの結論を反映して、「HIV臨床ゲノムデータ活用のための倫理指針(案)」を作成した。この指針に関しては、今後学会での認識の共有、MSMコミュニティとの意見交換・合意形成が必要である。ゲノム情報の利用に関するELSI課題が整理できたことは、今後HIV感染症の研究と予防対策の推進のために寄与する成果と言える。こうした情報を国際的に共有することで、HIV感染者の臨床ゲノム情報の活用の障壁が下がれば、治癒・ワクチン開発・エイズ疾患の克服など基礎研究の推進に役立つであろう。
学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.Shiino Teiichiro, Hachiya Atsuko, Imanishi Mayumi, Kaneko Noriyo, Iwatani Yasumasa, Yokomaku Noriyuki, Hashiba Chieko, Minami Rumi, Nakamura Asako, Yoshimura Kazuhisa, Kikuchi Tadashi on behalf of the Japanese Drug Resistance HIV-1 Surveillance Network. Detecting outbreak cases in men who have sex with men of a specific age group in Japan by the Search Program of HIV Nation-wide Cluster using Sequence (SPHNCS) ,10th IAS Conference on HIV Science (IAS 2019), 21-24 July 2019, Centro Citibanamex , Mexico City, Mexico

国外 / 

2.椎野禎一郎,大谷眞智子,蜂谷敦子,吉村和久,菊地正,日本薬剤耐性HIV調査研究グループ 国内伝播クラスタの検索プログラムの開発3:勢いを弱めた主要伝播クラスタ,第33回日本エイズ学会学術集会総会.

国内 / 

3.Michiko Koga, Haruka Tsuda Masahiro Nojima, Tomoe Senkoji, Megumi Kubota, Tadashi Kikuchi, Kazuhiko Ikeuchi, Eisuke Adachi, Takeya Tsutsumi, Tomohiko Koibuchi, Hiroshi Yotsuyanagi. The survival rate in people living with HIV/AIDS: three decades survey in IMSUT Hospital. 3rd Japan-Taiwan Joint Symposium on HIV/AIDS. December 7, 2019. Tokyo, Japan

国外 / 

4.Michiko Koga, Tomohiko Koibuchi, Tadashi Kikuchi, Tomoe Senkouji, Eisuk e Adachi, Takeya Tsutsumi, Hiroshi Yotsuyanagi. Predictors of decreasing Bone Mineral Density after switching from TDF to TAF in Japanese subjects with HIV. International AIDS Conference. July21-24 ,2019. Mexico City

国外 / 

5.国内新規HIV/AIDS診断症例における薬剤耐性HIV-1の動向、口頭、蜂谷敦子、佐藤かおり、豊嶋崇徳、伊藤俊広、林田庸総、岡 慎一、潟永博之、古賀道子、長島真美、貞升健志、近藤真規子、椎野禎一郎、須藤弘二、加藤真吾、谷口俊文、猪狩英俊、寒川 整、中島秀明、吉野友祐、堀場昌英、太田康男、茂呂 寛、渡邉珠代、松田昌和、重見 麗、岡﨑玲子、岩谷靖雅、横幕能行、渡邉 大、小島洋子、森 治代、藤井輝久、高田清式、中村麻子、南 留美、山本政弘、松下修三、健山正男、藤田次郎、杉浦 亙、吉村和久、菊地正 、第33回日本エイズ学会総会(熊本)

国内 / 口頭

6.古賀道子, 堤武也, 千光寺智恵, 久保田めぐみ, 安達英輔, 菊地正, 林阿英, 津田春香, 池内和彦, 奥新和也, 鯉渕智彦, 四柳宏. HIV感染者におけるA型肝炎ワクチン(エイムゲン)の効果の検討. 第33回日本エイズ学会学術総会.

国内 / 



更新日:2022-05-11

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