AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構（AMED）の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

• 2021
• 2020
• 2019

【成果報告書】

成果の概要

研究開発代表者　氏名：中村泰大（学校法人埼玉医科大学　埼玉医科大学国際医療センター皮膚科（皮膚腫瘍科）教授）
分担研究開発課題名（実施内容）：
＜実施内容1＞JCOG1602「爪部悪性黒色腫に対する指趾骨温存切除の非ランダム化検証的試験」の統括・遂行
本研究は遠隔転移および指趾骨浸潤を有さない爪部悪性黒色腫患者に対する指趾骨温存切除の有効性と安全性を多施設共同前向き試験にて評価・検証し、低侵襲かつquality of lifeを改善する標準治療を確立することを目的とする。令和3年度におけるマイルストーン及び研究開発方法として、①適格規準を満たす患者より同意を取得し患者を登録、②患者登録を推進し18例/年の登録を目指す、③年2回の定点モニタリングをJCOGデータセンターと行う、④グループ班会議に合わせて年2回、患者登録を増やす方策を検討、の4点をを挙げていた。①②については令和3年度に合計16例の患者登録があった。コロナ禍の影響もあってか、目標の18例/年にはやや及ばなかったが、2022年3月時点でほぼ予定登録ペースで試験は進んでいる。自施設（埼玉医大国際医療センター）としては4例の新規患者を登録した。③についてはJCOG定点モニタリングは年2回の定点モニタリングとなったが、モニタリング結果を班会議およびグループ内メーリングリストで開示し、プロトコール逸脱や不備などにつきグループ内で共有、注意喚起している。④については現在登録状況の月次報告をグループメーリングリストを用いて行っており、かつ班会議でも施設の予定登録数に達しなかった施設について、グループ代表者とともに理由と今後の見込みなどにつき施設より報告を受け登録促進を行っている。
＜実施内容2＞附随研究プロトコール作成、試料採取とJCOG-BBJ連携バイオバンクへの保存
JCOG1602試験治療前、治療後および術後経過観察中の血液検体について附随研究プロトコールを作成し、JCOG-BBJ連携バイオバンクもしくは国立がん研究センターに保存することを目的としている。マイルストーン及び研究開発方法として、①附随研究プロトコールを作成しJCOGプロトコール委員会での承認を得る、②附随研究に参加可能な施設でのIRB承認を促し、③IRB承認を得た施設では、試料の保存を開始する、の3点を挙げていた。①②③については，現在附随研究プロトコールの作成まで至っていないが、pilot studyとして爪部メラノーマ以外の進行期メラノーマ患者のデータ集積を行い、末梢血液中のエフェクターT細胞および制御性T細胞の比により、奏効を予測するマーカーとなり得ることを見いだしていた（confidential data）。
　しかしながら、当初の研究計画に含まなかった附随研究として、病期IIIの術後補助療法効果のsarrogate dataとして、爪部悪性黒色腫を含む末端黒子型悪性黒色腫手術後に再発・転移した進行期症例に対する抗PD-1抗体の予後延長効果につき、多施設共同後方視的研究を計画し、解析を行った。本解析により爪部悪性黒色腫における抗PD-1効果単剤療法の効果は欧米の皮膚悪性黒色腫に比べて著しく劣ることが判明しており（Nakamura Y, et al. 2019 ASCO Annual Meeting, Nakamura Y, et al. Ann Oncol 2020）、爪部悪性黒色腫の術後補助療法としての効果も同様に著しく劣ることが予想された。予定附随研究であった爪部悪性黒色腫の術前・術後の末梢血中各種免疫担当細胞のバランスの変化の検討については、進行期治療における爪部悪性黒色腫への抗PD-1抗体の効果不良を考慮すると、当初目論んでいた爪部悪性黒色腫患者の末梢血液中の免疫担当細胞モニタリングから免疫チェックポイント阻害薬を用いた術後補助療法での個別化医療の臨床試験につなげることは難しいと考えられた。
これについては、さらに別個の附随研究にて、爪部悪性黒色腫を含む末端黒子型悪性黒色腫手術後に再発・転移した進行期症例に対する抗PD-1抗体単剤と抗PD-1＋抗CTLA-4抗体併用療法の予後延長効果を比較する多施設共同後方視的研究を計画し、解析を行った。この研究により、進行期爪部悪性黒色腫では抗PD-1抗体＋抗CTLA-4抗体が抗PD-1抗体単剤に比べて有意に奏効することを多施設共同後方視的研究にて見いだした（Nakamura Y, et al. 2021 ASCO Annual Meeting，III（２）5.の発表が該当）。現在この別個の附随研究については論文化し英文論文雑誌に投稿中（European Journal of Cancer, status: under review）である。

研究開発分担者　氏名：山崎直也（国立研究開発法人　国立がん研究センター中央病院　皮膚腫瘍科　科長）
＜実施内容1＞JCOG1602「爪部悪性黒色腫に対する指趾骨温存切除の非ランダム化検証的試験」の統括・遂行
　内容は上記と同様である。施設としては1例の適格規準を満たした患者を登録した。加えてグループ代表者の立場として班会議開催における統括、また、手術中央判定委員として、各施設で行われた手術の術中写真をもとに、手術が適切な技術で行われているかどうか判定した。
＜実施内容2＞附随研究プロトコール作成、試料採取とJCOG-BBJ連携バイオバンクへの保存
　研究開発代表者が進めていたpilot studyについては、特に行っていない。
　上記に示した別個の附随研究についてはIRB申請、承認ののち、後方視的研究の対象となるデータを提供した。

研究開発分担者　氏名：爲政大幾（地方独立行政法人　大阪府立病院機構大阪国際がんセンター　腫瘍皮膚科 主任部長）
＜実施内容1＞JCOG1602「爪部悪性黒色腫に対する指趾骨温存切除の非ランダム化検証的試験」の統括・遂行
　内容として上記と同様である。手術中央判定委員として、各施設で行われた手術の術中写真をもとに、手術が適切な技術で行われているかどうか判定した。
＜実施内容2＞附随研究プロトコール作成、試料採取とJCOG-BBJ連携バイオバンクへの保存
　研究開発代表者が進めていたpilot studyについては、特に行っていない。
　上記に示した別個の附随研究についてはIRB申請、承認ののち、後方視的研究の対象となるデータを提供した。

研究開発分担者　氏名：松下茂人（独立行政法人国立病院機構　鹿児島医療センター　皮膚腫瘍科・皮膚科 部長）
＜実施内容1＞JCOG1602「爪部悪性黒色腫に対する指趾骨温存切除の非ランダム化検証的試験」の統括・遂行
内容として上記と同様である。手術中央判定委員として、各施設で行われた手術の術中写真をもとに、手術が適切な技術で行われているかどうか判定した。
＜実施内容2＞附随研究プロトコール作成、試料採取とJCOG-BBJ連携バイオバンクへの保存
　研究開発代表者が進めていたpilot studyについては、特に行っていない。
　上記に示した別個の附随研究についてはIRB申請、承認ののち、後方視的研究の対象となるデータを提供した。

学会誌・雑誌等における論文一覧

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1.小路口 奈帆子, 中村 泰大, 新井 栄一. 【治療方針を変える病理所見　診療ガイドラインと治療戦略】(第1部)臓器別　皮膚(non-melanotic). 病理と臨床. 2021; 39巻臨増, 44-49

2.中村 泰大. 【皮膚悪性腫瘍(第2版)上-基礎と臨床の最新研究動向-】メラノーマ　メラノーマ診療ガイドライン　国内・海外のガイドライン. 日本臨床. 2021; 79巻増刊2 皮膚悪性腫瘍(上), 162-167

3.中村 泰大, 寺本 由紀子. 【皮膚悪性腫瘍(第2版)上-基礎と臨床の最新研究動向-】メラノーマ　メラノーマの治療　センチネルリンパ節生検　臨床的意義. 日本臨床. 2021; 79巻増刊2 皮膚悪性腫瘍(上), 292-297

4.石川 詩帆, 藤堂 真紀, 真壁 秀樹, 寺本 由紀子, 中村 泰大, 牧野 好倫. 悪性黒色腫のダブラフェニブカプセル・トラメチニブ錠併用療法における薬剤師外来の介入と専用の直通外線電話を用いた保険薬局との連携. 日本病院薬剤師会雑誌. 2021; 57巻6号, 632-638

5.中村 泰大. 【エキスパートから学ぶ「再発抑制・寛解維持に悩む疾患」】(Part3.)腫瘍(opinion 9-1)　隆起性皮膚線維肉腫　私の考え方(1). Visual Dermatology. 2021; 20巻11, 1176

6.Yamazaki N, Takenouchi T, Nakamura Y, Takahashi A, Namikawa K, Kitano S, Fujita T, Kubota K, Yamanaka T, Kawakami Y. Prospective observational study of the efficacy of nivolumab in Japanese patients with advanced melanoma (CREATIVE study). Jpn J Clin Oncol. 2021; 51(8):1232-1241.

7.Umeda Y, Yoshikawa S, Kiniwa Y, Maekawa T, Yamasaki O, Isei T, Matsushita S, Nomura M, Nakai Y, Fukushima S, Saito S, Takenouchi T, Tanaka R, Kato H, Otsuka A, Matsuya T, Baba N, Nagase K, Inozume T, Onuma T, Kuwatsuka Y, Fujimoto N, Kaneko T, Onishi M, Namikawa K, Yamazaki N, Nakamura Y (corresponding author). Real-world efficacy of anti-PD-1 antibody or combined anti-PD-1 plus anti-CTLA-4 antibodies, with or without radiotherapy, in advanced mucosal melanoma patients: A retrospective, multicenter study. Eur J Cancer, 2021;157:361-372.

8.Kawashima S, Inozume T, Kawazu M, Ueno T, Nagasaki J, Tanji E, Honobe A, Ohnuma T, Kawamura T, Umeda Y, Nakamura Y, Kawasaki T, Kiniwa Y, Yamasaki O, Fukushima S, Ikehara Y, Mano H, Suzuki Y, Nishikawa H, Matsue H, Togashi Y. TIGIT/CD155 axis mediates resistance to immunotherapy in patients with melanoma with the inflamed tumor microenvironment. J Immunother Cancer, 2021;9(11):e003134.

9.Nakamura Y, Namikawa K, Yoshikawa S, Kiniwa Y, Maekawa T, Yamasaki O, Isei T, Matsushita S, Nomura M, Nakai Y, Fukushima S, Saito S, Takenouchi T, Tanaka R, Kato H, Otsuka A, Matsuya T, Baba N, Nagase K, Inozume T, Fujimoto N, Kuwatsuka Y, Onishi M, Kaneko T, Onuma T, Umeda Y, Ogata D, Takahashi A, Otsuka M, Teramoto Y, Yamazaki N. Anti-PD-1 antibody monotherapy versus anti-PD-1 plus anti-CTLA-4 combination therapy as first-line immunotherapy in unresectable or metastatic mucosal melanoma: A retrospective, multicenter study of 329 Japanese cases. ESMO Open, 6(6):100325.

10.Kato J, Namikawa K, Uehara J, Nomura M, Nakamura Y, Uhara H, Uchi H, Yoshikawa S, Kiniwa Y, Nakamura Y, Miyagawa T, Matsushita S, Takenouchi T, Hatta N, Ohno F, Maeda T, Fukushima S, Yamazaki N. Prognoses of melanoma patients who continue/discontinue anti-programmed death-1 therapy after achieving a complete response in a real-world setting: A multicenter retrospective study. Br J Dermatol. 2022 Mar 29. doi: 10.1111/bjd.21276.

11.Kawahara Y, Umeda Y, Yamaguchi B, Kamimura A, Teramoto Y, Nakamura Y (corresponding author). Long-term resolution of invasive extramammary Paget's disease with multiple regional lymph node metastases solely with regional lymph node dissection. J Dermatol, 2021;48(9):e452-e453.

12.Kawasaki T, Kaira K, Nakamura Y, Imai H, Barfod B. Re: INSM1 is a novel prognostic neuroendocrine marker for luminal B breast cancer. Pathology. 2021 Feb;53(2):292-293.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター

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1.Real-world efficacy of immune checkpoint inhibitors combined with or without radiation therapy in advanced mucosal melanoma patients: A retrospective, multicenter study. Umeda Y, Yoshikawa S, Kiniwa Y, Maekawa T, Yamasaki O, Isei T, Matsushita S, Nomura M, Nakai Y, Fukushima S, Saito S, Takenouchi T, Tanaka R, Kato H, Otsuka A, Matsuya T, Baba N, Nagase K, Inozume T, Onuma T, Kuwatsuka Y, Fujimoto N, Kaneko T, Onishi M, Namikawa K, Yamazaki N, Nakamura Y. 10th World Congress of Melanoma, Spain, 2021/4/14, 国外, ポスター

国外　/　ポスター

2.Surgical management of ALM. Nakamura Y. 10th World Congress of Melanoma, Spain. 2021/4/16, 国外, 口頭

国外　/　口頭

3.Asian collaboration for the constitution of Asian Guidelines in the field of dermato-surgery& dermato-oncology　-Current situation in Japan. Nakamura Y. 5th Asian Congress of Dermatologic Surgery, Kagoshima, Japan, 2021/5/29, 国内, 口頭

国内　/　口頭

4.メラノーマ治療の未来. 中村泰大. 第120回日本皮膚科学会総会, 横浜, 2021/6/11, 国内,　口頭

国内　/　口頭

5.Comparing the clinical efficacies of anti-PD-1 antibody monotherapy and anti-PD-1 and anti-CTLA-4 combination therapy as first-line immunotherapy in Japanese advanced acral melanoma: A retrospective, multicenter study (JAMP-neo study). Nakamura Y, Kiniwa Y, Kato H, Yamasaki O, Maekawa T, Matsushita S, Takenouchi T, Inozume T, Nakai Y, Fukushima S, Saito S, Otsuka A, Fujimoto N, Isei T, Baba N, Matsuya T, Tanaka R, Kaneko T, Onishi M, Yoshikawa S. 2021 American Society for Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting, Chicago, USA. 2021/6/6, 国外, ポスター

国外　/　ポスター

6.Efficacy of salvage therapies after failure of anti-PD-1 monotherapy for advanced melanoma in an Asian population: A multi-institutional historical cohort study. Nakamura Y, Namikawa K, Yoshikawa S, Kiniwa Y, Maekawa T, Yamasaki O, Isei T, Matsushita S, Nomura M, Nakai Y, Fukushima S, Saito S, Takenouchi T, Tanaka R, Kato H, Otsuka A, Matsuya T, Baba N, Nagase K, Inozume T. 2021 European Society of Medical Oncology (ESMO) Congress, Paris, France, 2021/9/18, 国外, ポスター

国外　/　ポスター

7.Current update data of Non-melanoma skin cancer in Asians. Nakamura Y. 47th Annual Meeting of Taiwanese Dermatological Association, Taipei, Taiwan, 2021/11/20, 国外，口頭

国外　/　口頭

8.Drug treatment for adjuvant and advanced melanoma in Japan. Nakamura Y. Mel Asia Talk, Beijing, China, 2022/1/8, 国外，口頭

国外　/　口頭