AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
梅毒の迅速診断法に資する研究開発
課題管理番号
21fk0108091j0303
統合プロジェクト
医薬品プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
新興・再興感染症制御プロジェクト
事業名
新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 , 感染症実用化研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/新規診断法・検査法・検査体制の開発、確立、検証<診断薬・診断機器開発は除く>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2020)
/研究の性格/新規診断法・検査法・検査体制の開発、確立、検証<診断薬・診断機器開発は除く>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2019)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
代表研究機関
国立感染症研究所
研究代表者
(2021) 大西真 , 国立感染症研究所 , 副所長
(2020) 齋藤万寿吉 , 学校法人東京医科大学 , 皮膚科学分野・講師
(2019) 齋藤万寿吉 , 学校法人東京医科大学 , 皮膚科学分野・講師
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 20,128
  • 2021年度
    6,628
  • 2020年度
    6,750
  • 2019年度
    6,750
研究概要(2021)
本研究班の目的は、梅毒に関する新規迅速診断法の開発である。血清診断および核酸診断のための新規ツールを検証するための、基盤試料を拡充することを目的とする。血清および梅毒疑い検体に関しては、これまで国立感染症研究所 細菌第一部で収集した検体の性状を確認し、整理して、他の分担研究者に提供できるようにする。また、近年開発、報告された培養細胞を用いて梅毒トレポネーマ継代法を確認し、新規に菌株樹立を試みる。菌株が樹立された場合には、ゲノム塩基配列決定をし、またゲノムDNAを広く提供可能とする。また、ガイドライン策定に資する情報の整理を行う。
研究概要(2020)
本研究班の目的は、梅毒に関する新規迅速診断法の開発である。新規迅速診断法のための血清パネルの構築および新規診断法が確立した際にはすみやかにガイドライン等で活用できる準備を行う。血清パネル構築に関しては、これまで国立感染症研究所 細菌第一部で収集した検体に加えて新規患者からの血清を追加して行う予定である。血清抗体価に関しては臨床で用いられている標準的な方法で値付し整理する。核酸検出法の試料はPCR法により梅毒トレポネーマDNAの存在の有無を明らかにし、DNA型別を付与した検体セットを用意する。さらに、2018年に報告された培養細胞を用いた継代可能な梅毒トレポネーマ培養法を検証する。実施可能と判断された場合には、近年世界的に拡散しているSS-14型マクロライド耐性の梅毒トレポネーマを培養し、ゲノムDNAを調整して分与可能とする。性感染症学会梅毒委員会において適宜経過の報告を行い、ガイドライン策定等の準備にとりかかる。
研究概要(2019)
新規の梅毒患者(東京医科大学倫理委員会申請予定)およびこれまで梅毒疑い患者から収集した検査試料(国立感染症研究所 ヒトを対象とする医学研究倫理審査委員会)を本研究の新規開発検査法の検証に利用できるよう審査を受け利用可能とする。国立感染症研究所 細菌第一部で収集した血清(n=50)に関して、HIVおよび肝炎ウイルスの存在を否定し、梅毒抗体価 (カルジオリピン抗体価および梅毒特異的抗体価)を現在臨床で用いられている方法で再測定する。さらに東京医大を受診した梅毒患者から新規血清を追加して、陰性検体および陽性検体(低値から高値まで)の選抜を行いパネルを作成する。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
 カルジオリピンをマーカーとするRPR(Rapid Plasma Reagin)等の迅速検査法の開発においては、固定相の条件検討を行い、実用的な条件下で抗原抗体反応を検出することが可能となった。移動相の検討においても、カルジオリピンを含有する混合脂質により、緩衝液中で安定的に金コロイドを分散させられる条件を見出した。
 新規迅速遺伝子診断法の開発の検討では、マイクロ流路型遺伝子定量装置(超高速PCR)を用いた遺伝子検出法の開発に取り組んだ。T. pallidumの検出にはpolA遺伝子を標的とし、これまでのconventional PCR法と同一の検出感度でありながら、概ね10分で検査を完了することができた。複数の前処理液候補試薬を使用し、検出感度の向上と検査時間の短縮を目指し改良を実施している。なお、HSV-1/2についても同様に超高速PCRを使用した遺伝子検出が実現できた。現在、T. pallidumと同一のプロトコルで検体前処理を実施し、超高速PCR反応の効率性を維持できる試薬の選択ならびに処理条件の検討を実施している。
 臨床検体の収集とその整備に関しては、Washington大 Dr. Giacani主導の国際共同梅毒トレポネーマゲノム解析プロジェクトに、本研究班で収集した国内検体を用いて参画し論文(Treponema pallidum genome sequencing from six continents reveals variability in vaccine candidate genes and dominance of Nichols clade strains in Madagascar)を投稿中である。
 診断・治療ガイドライン策定に資する基盤情報の収集として、感染時期の推定のために抗体のアビディティーに測定が有効か検討するため本研究で収集した血清を用いた検討を進めた。得られたデータの解析結果によっては、感染時期と治療が胎児の予後に影響を及ぼす可能性がある妊婦梅毒の治療に有用な情報を提供することが期待される。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.大西 真.梅毒―今何が問題か.医学と薬学. 2021, 78, 1015-1019.

2.大西 真.梅毒.医学と薬学. 2021, 48, 29-34.

3.Nicole AP, Lieberman NAP, Lin MJ, Xie H, Shrestha L, Nguyen T, Huang ML, Haynes AM, Romeis E, Wang Q-Q, Zhang R-L, Kou C-X, Ciccarese G, Conte ID, Cusini M, Drago F, Nakayama S, Lee K, Ohnishi M, Konda KA, Vargas SK, Eguiluz M, Caceres CF, Klausner JD, Mitja O, Rompalo A, Mulcahy F, Hook EW, Lukehart SA, Casto AM, Roychoudhury P, DiMaio F, Giacani L, Greninger AL. Genome Sequencing of 196 Treponema pallidum strains from six continents reveals additional variability in vaccine candidate genes and dominance of Nichols clade strains in Madagascar. 2021 PLos Negl. Trop. Dis. 15:12 e0010063. 10.1371/jounal.pntd.0010063



更新日:2024-10-10

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