AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
腸管免疫を利用した新規経口がんワクチンの開発
課題管理番号
21lm0203091h0003
統合プロジェクト
シーズ開発・研究基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
革新的医療技術創出拠点プロジェクト
事業名
橋渡し研究戦略的推進プログラム
タグ(2021)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/非臨床試験・前臨床試験
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/非臨床試験・前臨床試験
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
タグ(2019)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/非臨床試験・前臨床試験
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
代表研究機関
国立大学法人神戸大学
研究代表者
(2021) 白川利朗 , 国立大学法人神戸大学 , 大学院科学技術イノベーション研究科・教授
(2020) 白川利朗 , 国立大学法人神戸大学 , 大学院科学技術イノベーション研究科 教授
(2019) 白川利朗 , 国立大学法人神戸大学 , 大学院科学技術イノベーション研究科 先端医療学分野 教授
データサイエンティスト
大森崇 神戸大学医学部附属病院 臨床研究推進センター, 特命教授 白川利朗 神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 先端医療学分野, 教授
研究期間
2019年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 193,960
  • 2021年度
    65,000
  • 2020年度
    65,000
  • 2019年度
    63,960
研究概要(2021)
当該年度は、抗PD-1抗体不応性となった膀胱癌に対する本経口がんワクチンの抗腫瘍効果の作用機序をマウス膀胱癌モデルで解明する。また、治験実施計画書および治験薬概要書を作成する。医師主導治験に向けて、200LレベルでPQ(Performance Qualification)バッチのGMP製造を実施し、原薬、製剤を作製し、安定性試験を開始する。また、医師主導治験に向けて、対象となる進行性尿路上皮癌患者のWT1タンパクの発現頻度を確認する。またWT1タンパク以外に、腫瘍組織中のCD4、CD8および制御性T細胞の腫瘍内浸潤を確認し、ペムブロリズマブ感受性および予後との関連を調べる。
研究概要(2020)
当該年度は、医師主導治験開始までに必要とされる安全性試験パッケージを全て完了し、薬事対応として3回目のPMDA対面助言を実施する。具体的にはマウスを用いたGLP反復投与毒性試験を実施する。また、本マウスGLP反復投与毒性試験にIrwin変法を用いた中枢神経系安全性薬理試験も組み込む。さらに令和元年10月に実施した対面助言に基づき、カニクイザルを用いたGLP安全性薬理試験(心血管系および呼吸器系)を実施する。また、これまでの非臨床試験で得られたデータを基に治験における臨床プロトコールを確定させ治験実施計画書を作成する。これらに加えて治験薬概要書も作成し、品質関連のPMDA対面助言も実施する。
研究概要(2019)
WT1タンパクを発現する遺伝子組換えビフィズス菌からなる経口癌ワクチン、B440の開発を進める。本年度は、詳細な用法用量を決定するために2回目のマウスを用いた用法用量試験を実施する。また、カニクイザルを用いた実験でB440が霊長類でもWT1特異的細胞性免疫を安全に誘導できることを確認する。また、GLP安全性試験に先立ち、非GLP毒性試験予備試験を実施する。具体的には、マウスを用いた単回投与毒性試験を行う。さらに第2回目のPMDA対面助言を実施し、尿路上皮癌を治験での対象疾患とすることの妥当性を確認する。さらに本事業全体の統括、進捗確認を行う。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
PD-1/PD-L1阻害剤を始めとする免疫チェックポイント阻害剤を用いた癌免疫療法が急速に普及している。進行性尿路上皮癌に対してもペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)およびアベルマブ(抗PD-L1抗体)が承認されているが、その奏効率は20%程度にとどまる。WT1経口癌ワクチンはマウス膀胱癌モデルにおいて抗PD-1抗体との併用で劇的な抗腫瘍効果を示し、抗PD-1抗体抵抗性腫瘍でも効果を示した。今回、進行性尿路上皮癌に対するWT1経口癌ワクチン(B440)の医師主導治験を計画し、① 治験実施に必要な非臨床試験、② 腫瘍組織のWT1タンパク発現確認の臨床研究 ③ CMC開発、④ 治験実施計画書の作成、規制当局対応、を実施した。各項目の具体的な内容と担当について下記に記載する。
① 非臨床試験(担当:神戸大学 白川、大阪大学 橋井)
有効性試験:マウス膀胱癌モデルを用いて、本経口がんワクチンと抗PD-1抗体との併用療法の抗腫瘍効果および抗PD-1抗体抵抗性腫瘍に対する経口がんワクチン単剤での抗腫瘍効果を確認した(Molecular Therapy: Oncolytics, 2021)。またマウス白血病モデルを用いて、本抗腫瘍効果が腸管免疫系を介して誘導されることを確認した(Cancer Immunol. Immunother. 2022 in press)。
安全性試験:PMDA対面助言で確認した安全性試験パッケージによる、GLP試験は前年度に完了した。
② WT1発現確認の臨床研究(神戸大 白川、日向)
神戸大学医学附属病院で、ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)を使用した合計47人の進行性尿路上皮癌患者の腫瘍組織を用いて、WT1タンパクの発現を免疫組織学的に検討した。結果、計画している治験の対象となる、ペムブロリズマブ抵抗性患者19人中15人(78.9%)にWT1タンパクの発現を確認した (Clinical and Translational Oncology, 2021)
③ CMC開発(京都大学 片山、神戸大学 蓮沼)
原薬およびカプセル製剤のPre-GMP製造を実施し、品質試験を実施し、安定性試験を開始した。
④ 治験実施計画書の作成、規制当局対応
前年度までに、合計3回のPMDA対面助言(非臨床安全性試験、治験計画骨子、品質関連)を実施した。また治験実施に必要な、治験実施計画書、患者同意説明書、および治験薬概要書を作成した。

尚、現在、上述の実施項目を含む治験実施に必要な全ての事項を完了し、2023年1月より神戸大学、広島大学および浜松医科大学にて、進行性尿路上皮癌患者に対するB440の医師主導治験(jRCT2051220143)を実施している。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Nakagawa N, Hashii Y, Kayama H, Okumura R, Nakajima H, Minagawa H, Morimoto S, Fujiki F, Nakata J, Oji Y, Oka Y, Shirakawa T, Katayama T, Takeda K, Tsuboi A, Ozono K. An oral WT1 protein vaccine composed of WT1-anchored, genetically engineered Bifidobacterium longum allows for intestinal immunity in mice with acute myeloid leukemia. Cancer Immunol. Immunother. 2022 in press.2022

2.Kitagawa K, Tatsumi M, Kato M, Komai S, Doi H, Hashii Y, Katayama T, Fujisawa M, Shirakawa T. An oral cancer vaccine using a Bifidobacterium vector suppresses tumor growth in a syngeneic mouse bladder cancer model. Mol Ther Oncolytics. 2021, 25, 22:592-603. doi:10.1016/j.omto.2021.08.009.

3.H. Ueki, N. Hinata, K. Kitagawa, T. Hara, T. Terakawa, J. Furukawa, K. Harada, Y. Nakano, M. Komatsu, M. Fujisawa, T. Shirakawa “Expressions of PD-L1 and Nectin-4 in Urothelial Cancer Patients Treated with Pembrolizumab.” Clinical & Translational Oncology, 2021, 24(3): 568-577. https://doi.org/10.1007/s12094-021-02717-3.

4.Ojima MN, Asao Y, Nakajima A, Katoh T, Kitaoka M, Gotoh A, Hirose H, Urashima T, Fukiya S, Yokota A, Abou Hachem, Sakanaka M, and Katayama T. Diversification of a fucosyllactose transporter within the genus Bifidobacterium. Applied and Environmental Microbiology. 2022, 88, e0143721, doi:10.1128/AEM.01437-21.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.ペムブロリズマブを使用した進行性尿路上皮癌患者の予後予測因子についての免疫組織学的検討、植木秀登、日向信之、北川孝一、原琢人、寺川智章、古川順也、原田健一、中野雄造、小松正人、藤澤正人、白川利朗、第109回日本泌尿器科学会総会、2021/12/8、国内、ポスター

国内 / ポスター

2.Doi H, Kato M, Kitagawa K, Tominaga S, Yanase S, Shirakawa T. Oral Administration of Bifidobacterium longum Displaying WT1 Protein Augments Anti-Cancer Activity of Anti-PD-1 Antibody in Mice Renal Cell Carcinoma Model. ASGCT 24th Annual Meeting. (2021年5月、ポスター).

不明 / ポスター



更新日:2024-10-10

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