AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

> 課題検索詳細

研究課題情報

研究課題名
アミノ酸応答異常による個体の機能低下機構の解明
課題管理番号
21gm6110017h0004
統合プロジェクト
シーズ開発・研究基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
その他
事業名
革新的先端研究開発支援事業
タグ(2021)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/対象疾患/症状,徴候および異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
タグ(2020)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/対象疾患/内分泌,栄養および代謝疾患
タグ(2019)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/該当なし<対象とする疾患なし>
タグ(2018)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/該当なし<対象とする疾患なし>
代表研究機関
国立大学法人東京大学
研究代表者
(2021) 福山征光 , 国立大学法人東京大学 , 大学院薬学系研究科 薬科学専攻 講師
(2020) 福山征光 , 国立大学法人東京大学 , 大学院薬学系研究科 講師
(2019) 福山征光 , 国立大学法人東京大学 , 大学院薬学系研究科 薬科学専攻 講師
(2018) 福山征光 , 国立大学法人東京大学 , 大学院薬学系研究科・講師
研究期間
2018年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 58,173
  • 2021年度
    13,000
  • 2020年度
    13,000
  • 2019年度
    19,173
  • 2018年度
    13,000
研究概要(2021)
独自に単離した変異体群の解析を進める。昨年度の研究で、栄養応答に異常を示す変異体の原因遺伝子の一部が、生殖機能の低下に関連する可能性を見出したので、他の原因遺伝子に関しても生殖機能の老化との関連を調べる。また、これら変異体の原因遺伝子群に関して、レポーター遺伝子などをもちいた発現解析や変異体の救助アッセイをもちいて、老化に寄与する組織間連携の解明を目指す。さらに、昨年度に同定した生殖機能の老化が抑制された変異体の探索を進める。こちらに関しては複数の変異体が単離されており、1系統が野生型と比較すると顕著な生殖機能の長期維持を示している。これらの変異体の原因遺伝子同定を進めるための戻し交雑の過程で、表現型が再現されるか確認しつつマッピングを進め、アミノ酸応答異常を示す変異体群との関連を調べる。
研究概要(2020)
独自に単離した変異体群の解析を進める。すでに短命の表現型を示す変異体群に関しては、過剰発現や恒常的発現で寿命を延伸が見られるか検討する。また、変異体を用いた発現解析によって、野生型に対して発現変動の見られる遺伝子に関して、野生型あるいは変異体バックグランドでの個体の寿命の長さを評価することで、老化に寄与する因子群の単離を目指す。また、変異体の原因遺伝子群やこの様にして同定した下流遺伝子群に関して、レポーター遺伝子などをもちいた発現解析や変異体の救助アッセイをもちいて、老化に寄与する組織間連携の解明を目指す。一部の変異体の原因遺伝子は代謝酵素であることが判明している。そこで、共同研究などを通じてメタボローム解析をおこない、野生型と比較して優位に変動が見られる代謝産物を同定し、その老化への寄与を摂食実験などによって検討する。
研究概要(2019)
ロイシンやメチオニン、フェニルアラニン欠乏応答に異常を示す線虫の変異体群の標準培地上における寿命をそれぞれ測定する。複数の変異体が野生型と比較して短い平均寿命を示す予備データを得ている。標準培地上での平均寿命が野生型と差がない変異体に関しては食餌制限条件下での寿命を評価する。以上の解析で平均寿命に影響が認められる変異体の原因遺伝子群が、どの組織で機能して必須アミノ酸欠乏のセンシングに関わり、寿命に影響を与えるか、レポーター遺伝子などをもちいた発現解析や変異体の救助アッセイによって同定する。また、独自に単離した変異体のうち、複数の原因遺伝子が、特定のシグナル伝達経路で機能することが示唆されており、その仮説を検討すべく、既存の変異体群と独自に単離した変異体群との表現型を比較・解析する。
研究概要(2018)

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
これまでの研究で、アミノ酸応答と生殖寿命の関係が示唆されたため、生殖寿命の延長を示す変異体の解析を進めてきた。今年度では、単離した変異体の一つであるD6変異体」の責任遺伝子が、消化管に発現する膜タンパク質をコードすることが判明した。RNAシーケンス解析より、D6変異体では、絶食により誘導される脂質代謝酵素の発現亢進が示唆されたが、摂食量の測定からは、摂食障害を認めることはできなかった。また、D6変異体と同様に生殖寿命老化の延長を示すTGF-β経路変異体は、野生型と比較して体長が顕著に短いが、D6変異体の体長は野生型と大差はなかったことから、D6変異体責任遺伝子はTGF-β経路変異体とは異なるあるいはその下流で機能する可能性が示唆された。
 上記の解析と並行し、smad以外の変異体の解析も進めてきた。昨年度報告した遺伝子Aおよび、それと類似した変異体Bの責任遺伝子Bの解析をすすめた。Venusタグをゲノム上の遺伝子Bに挿入し発現組織を調べたところ、微弱ではあるものの生殖幹細胞で検出された。変異体AおよびBは短命の表現型を示し、その表現型は食餌制限で抑制されること、メタボローム解析の結果などから、遺伝子AおよびBはアミノ酸欠乏に応答する機能が示唆されている。その一方で、遺伝子AおよびBの過剰発現や恒常活性化変異体は寿命延長効果を示さないことから、AおよびBが機能する遺伝学的経路の他の遺伝子が、経路全体の活性を決定する可能性が考えられた。また、変異体AおよびBとは異なるアミノ酸応答異常を示す変異体の一つが既にアミノ酸センシングと老化進行に関与することが知られているS6キナーゼの恒常活性化型と考えられる変異体であった。さらに、S6キナーゼ変異体と類似したアミノ酸応答異常を示す変異体をさらにスクリーニングしたところ、酵母からヒトまで保存されているリボソーム生合成に関与する因子のアミノ酸置換変異体も単離された。リボソーム生合成因子の変異体が栄養応答異常を呈する報告は、申請者の知る限りでは前例がなく、この因子とS6キナーゼによるアミノ酸応答メカニズムを理解することで、新たな老化進行機構が見出せる可能性が示唆された。
学会誌・雑誌等における論文一覧
  • ◀◀
  • 1
  • ▶▶

1.Castillo, C.E.C. del, Hannich, J.T., Kaech, A., Chiyoda, H., Brewer, J., Fukuyama, M., Faergeman, N.J., Riezman, H., and Spang, A. *Patched regulates lipid homeostasis by controlling cellular cholesterol levels. Nat Commun 12, 4898. (2021). doi: 10.1038/s41467-021-24995-9

「国民との科学・技術対話社会」に対する取り組み
  • ◀◀
  • 1
  • ▶▶

1.線虫をもちいた生殖寿命研究の紹介, 福山征光, 都立新宿高校の高校生研究室見学会, 2021/12/28, 国内

国内



更新日:2023-04-12

TOPへ