AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構（AMED）の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

• 2021
• 2020
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【成果報告書】

成果の概要

●本研究では、アルツハイマー病（AD）をはじめとした神経変性性認知症の病態解明ならびに創薬ターゲットの開発を目的としている。昨年度までに本研究の根幹をなす各網羅的解析のSOP確立が終了し、AD患者検体およびコントロール検体を用いた網羅的解析および得られたデータを組み合わせた統合的解析を実施した。また、他の認知症研究班3班とも連携し、互いの研究班の研究成果を向上させるべく、得られた生体試料の精度分析などの協働作業を実施した。
●令和3年度は研究班全体として以下の研究開発を実施した。
齊藤勇二・皆川グループでは、解析する患者検体（AD、コントロール各約20例）)について、臨床情報をもとに選定しているが、さらに診断確度を向上させて網羅的解析の精度を上げるため、今年度はその認知症患者検体の血漿のアミロイド関連分子を測定し、診断確度を向上させた。
また、多層オミクス解析で同定される候補分子の検証実験の準備としてエクソソームマーカーの検出と定量解析のためのプロトコルを樹立した。
各オミクス拠点では以下の研究開発を実施した。植田グループではLC/MS分析による網羅的定量プロテオーム解析を実施し、約5000エクソソームタンパク質が同定され、AD患者群血漿エクソソームにおいて有意な発現亢進を認めたタンパク質ならびに発現低下を認めたタンパク質を各々約20種見出した。齊藤公亮グループは疎水性メタボローム解析を行い、およそ600分子の解析結果を得た。健康成人及びAD患者間で有意に差が認められた約10分子がバイオマーカー候補として得られ、このうち、含有する脂質や脂質クラスに偏りが認められ、ADや遺伝性神経疾患との関連が報告されている脂質を、AD患者で減少が認められた特徴的な含有脂質として見出した。平山グループは液体クロマトグラフ－質量分析およびイオンクロマトグラフ－質量分析を用いた親水性メタボローム解析を行い、約100代謝物を同定した。これらのうち、2代謝物において統計学的有意差を認め、バイオマーカー候補分子として見出した。松本グループではエクソソーム中のmiRNA発現を比較し、AD患者で高発現するmiRNAを1つ同定した。また、AD患者で発現増強あるいは発現減弱している約150のmiRNA群を見出した。尾崎グループ（国立長寿医療研究センター）ではすでにエクソソーム内の新規微生物検出を目的とした検証を行い、1種類の細菌がAD患者に多い傾向があることを見出しているが、さらに網羅的エクソソーム全RNA配列決定の有用性の検証したところ、全RNA配列決定のためには数十倍量の血漿が必要であり、技術改革が必要であることが判明した。
茅野グループでは、各オミクス拠点から得られた検体の臨床データを含めた内因性・外因性因子等の各オミックス分子データを統計学および情報学に基づくバイオインフォマティクス技術により融合的に分析した。特に、多層的オミックスを縦断的に繋ぐ分子相関解析により、新規分子マーカーが開発できる可能性がある。
認知症-エクソソーム研究班3班での協働で、神経特異的エクソソームが各種網羅的解析に適するかどうか、その検証系のプロトコルを確立した。今後さまざまな手法で抽出した臓器特異的エクソソームの検証に応用が期待される。 <br />

学会誌・雑誌等における論文一覧

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1.Yuji Saitoh, Masaki Iwasaki, Masashi Mizutani, Yukio Kimura, Masato Hasegawa, Noriko Sato, Masaki Takao, Yuji Takahashi. Pathologically verified corticobasal degeneration mimicking Richardson’s syndrome coexisting clinically and radiologically shunt-responsive normal pressure hydrocephalus. Movement Disorders Clinical Practice. Ahead of Print. https://doi.org/10.1002/mdc3.13442

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター

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1.18F-THK5351-PET Imaging Visualizes Neurodegenerative Changes in Neurodegenerative Diseases, Yuji Saitoh, Etsuko Imabayashi, Taiji Mukai, Asami Moriya, Kanako Komatsu, Yuko Saito, Hiroshi Matsuda, Yuji Takahashi, 第62回日本神経学会学術大会．国立京都国際会議場，京都市．2021年5月19日～22日（21日）．国内，ポスター

国内　/　ポスター

2.MIBG心筋シンチグラフィーの集積低下を示す進行性核上性麻痺の臨床的特徴，石原資，齊藤勇二，髙橋祐二，第62回日本神経学会学術大会．国立京都国際会議場，京都市．2021年5月19日～22日（19日），国内，ポスター

国内　/　ポスター

3.脳脊髄液疎水性メタボローム解析の神経精神疾患への応用にむけた健常人試料の解析，齊藤公亮, 服部功太郎, 功刀浩，第43回日本生物学的精神医学会・第51回日本神経精神薬理学会合同年会，2021年7月16日，国内，口頭

国内　/　口頭

4.Riluzole-induced Interstitial Lung Disease in ALS; a rare but treatable adverse event, and a risk of secondary pneumomediastinum while using mechanical insufflation-exsufflation, Yuji Saitoh, Yohei Aoshima, Masayuki Miyazaki, Taiji Mukai, Hiroki Abe, Nobuaki Arai, Hajime Ariga, Madoka Mori-Yoshimura, Tomoko Okamoto, Yuji Takahashi, Pan-Asian Consortium for Treatment and Research in ALS (PACTALS) 2021 NAGOYA, Web開催. Sep 17-18, 2021, 国内，ポスター

国内　/　ポスター

5.18F-THK5351 Positron Emission Tomography Imaging of ALS and Various Neurodegenerative Diseases, Yuka Hama, Yuji Saitoh, Etsuko Imabayashi, Taiji Mukai, Asami Moriya, Yuko Morimoto, Kanako Komatsu, Terunori Sano, Masaki Takao, Tadashi Tsukamoto, Hidehiro Mizusawa, Yuko Saito, Hiroshi Matsuda, Yuji Takahashi, Pan-Asian Consortium for Treatment and Research in ALS (PACTALS) 2021 NAGOYA, Web開催, Sep 17-18, 2021. 国内，ポスター

国内　/　ポスター

6.Effect of H. pylori Infection on L-DOPA Pharmacokinetics in Patients with Parkinson’s disease, Shinji Oda, Yuji Saitoh, Junko Takei, Shoko Watanabe, Yohei Mukai, Yuji Takahashi, International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders, Web開催. September 17-22, 2021, 国外，ポスター

国外　/　ポスター

7.認知症を伴うパーキンソン病患者の1剖検例，山川徹，齊藤勇二，水谷真志，中山雄二，山本敏之，高尾昌樹，髙橋祐二，第75回国立病院総合医学会，Web開催，2021年10月23日，国内，ポスター

国内　/　ポスター

8.A clinicopathologic report of genetic CJD-M232R patient presenting sporadic fatal insomnia, Yuji Saitoh, Hotake Takizawa, Terunori Sano, Kentaro Matsui, Katsuya Sato, Tetsuyuki Kitamoto, Hidehiro Mizusawa, Masaki Takao, Yuji Takahashi. 第40回日本認知症学会学術集会，東京，Web開催，2021年11月26日～28日，国内，ポスター

国内　/　ポスター