AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
ベッカー型筋ジストロフィーの自然歴調査に基づく予防医学に向けたエビデンスの創出研究
課題管理番号
20ek0109357h0003
統合プロジェクト
ゲノム・データ基盤プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
難病克服プロジェクト
事業名
難治性疾患実用化研究事業
タグ(2020)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/観察研究等
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/神経系の疾患
タグ(2019)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/神経系の疾患
タグ(2018)
/研究の性格/医療技術・標準治療法の確立等につながる研究<診療の質を高めるためのエビデンス構築<診療ガイドライン作成等>を含む>
/開発フェーズ/該当なし
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/神経系の疾患
代表研究機関
独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター
研究代表者
(2020) 中村昭則 , 独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター , 臨床研究部・部長
(2019) 中村昭則 , 独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター , 脳神経内科・部長
(2018) 中村昭則 , 独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター , 神経内科・部長
研究期間
2018年度-2020年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 29,666
  • 2020年度
    9,386
  • 2019年度
    9,880
  • 2018年度
    10,400
研究概要(2020)
1)2018~2019年度に実施した319名のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)患者の診療データについてBMD患者の実態把、遺伝型と表現型(骨格筋障害、心筋障害、中枢神経障害)の関連性を統計学的に解析し、学会や論文発表を行う。2)2020年度に実施するプロスペクティブ(前向き)研究を主導・統括し、推進する。
研究概要(2019)
筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(MDCTN)のプロジェクト研究として、1)2018年度に実施した約250名のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)患者のカルテ等資料による診療データをもとに、本邦におけるBMD患者の実態把、遺伝型と表現型(骨格筋障害、心筋障害、中枢神経障害)の関連性を統計学的に検討(レトロスペクティブ研究ー1次調査)し、その研究成果をまとめて関連する班会議、学会、研究会等で報告及び論文化を行う。2)1)の1次調査の中で更に詳細な検討が必要と考えられたBMD患者の中枢神経障害、筋画像所見、呼吸障害に関する2次調査を行う。3)1)の結果をもとに、当年度に実施予定としていたプロスペクティブ(前向き)研究を立案・計画を行い、代表機関および分担研究機関における研究計画の倫理申請・承認を得た後に開始する。
研究概要(2018)
2018年度は代表施設、分担研究施設(4)、研究協力施設(17)の研究体制のもと各施設の倫理申請及びBMD患者のカルテ情報にもとづく臨床調査個人票を作成した。当初目標を250症例としたが、平成30年12月末日で計208例(達成率83.2%)のデータ収集を完了した。症例登録期間は2019年2月末を予定しており、目標症例数達成が見込まれる。さらにデータマネージメントも行い、2019年3月までにデータ固定の予定である。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)と同じくDMD遺伝子の変異により筋形質膜に局在するジストロフィンが欠損して発症する。DMDではアミノ酸の読み取り枠がずれる変異のためジストロフィンが完全に欠損する。一方、BMDではアミノ酸の読み取り枠が保たれる変異であるため、不完全ながらも機能を有するジストロフィンが産生され、DMDに比べて骨格筋障害は軽症である。しかしながら、心筋障害が前景に立ち心不全や心移植に至る例が少なくない。重症度も患者間で大きく異なっている。近年、発症前に診断されることが少なくないが、依然としてDMD遺伝子型と表現型の関連は不明であり、早期診断の利点が生かされておらず、定期的受診も進んでいない。そこで本研究ではBMDの自然歴を明らかにすることを目的とした。筋ジストロフィー臨床試験ネットワークに加盟している全国22の医療機関と共同によりBMD患者の骨格筋、呼吸筋、心筋、中枢神経障害に関する情報(症状・経過、検査所見)と遺伝子変異情報をカルテより収集して、両者の関係について統計学的に貴的に検討した。【結果】遺伝子変異が確認された305例を本研究に組み入れた。平均年齢は30.5歳(範囲:0-81歳)であった。遺伝子変異のタイプは、欠失82%、重複7%、スプライス部位突然変異5%、ナンセンス突然変異3%、およびミスセンス突然変異2%であった。初期症状は、筋症状57%、無症候性高CK血症33%、中枢神経症状6%、心臓障害3%であった。遺伝子変異の分布はDMDの分布に極めて類似し、エクソン45-55およびエクソン3-9に変異のホットスポットを認めた。頻度の高い上位5変異は、エクソン45-57欠失(22.6%)、エクソン45-48欠失(13.1%)、エクソン45-49欠失(4.6%)、エクソン45-55欠失(3.9%)、およびエクソン3-7欠失(3.3%)であった。この中でエクソン3-7の欠失とエクソン45-49の欠失が筋症状、心筋障害とも重症であった。我々は初めてBMDの表現型と遺伝子型の関連について明らかにした。これらの結果は、遺伝カウンセリング、精密医療の確立、治療法の開発に役立つことが期待される。また、2020年度から開始しているBMD自然歴前向き調査研究を計画実施中であり、次年度も継続の方針である。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.中村昭則.DMDの病態 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療の新たな展開―ビルトラルセンへの期待― Progress in Medicine 2020, 40(10): 1011-1017.

2.中村昭則iPS細胞を用いたDMDに対するエクソン・スキップ治療の開発Clinical Topics. BIO Clinica 2020, 9(2): 129-134.

3.Okano S, Nishizawa H, Yui Joya, Yokokawa Y, Koinuma M, Nakamura A. Convergent validity of a simplified device and relationship between blood lactate and salivary lactate after a vertical squat jump in healthy non-athletes, J Phys The Sci 2021 33: 187-193, doi: 10.1589/jpts.33.187.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.DMDに対するエクソン・スキップ治療開発にはBMDの自然歴の理解が重要である, 中村昭則,第74回国立病院総合医学会シンポジウム15「筋ジストロフィー治療開発の最先端,次の10年に何が起こるか」,2020/10/17,国内(新潟),口頭

国内 / 口頭

2.BMDの自然歴調査研究の結果(第一報),中村昭則,精神・神経疾患研究開発費「筋ジストロフィーの臨床開発推進、ならびにエビデンス構築を目指した研究」班令和2年度班会議,2020/11/27,国内,口頭

国内 / 口頭

3.Development of DMD exon 3-9 skip therapy and examination of the direction of exon skip therapy from the viewpoint of natural history of BMD,中村昭則,精神・神経疾患研究開発費「疾患モデル動物を基板とした筋ジストロフィーの新しい治療法開発」班令和2年度班会議,2020/12/1,国内,口頭

国内 / 口頭

4.BMDの自然歴調査研究の成果,中村昭則,令和2年度筋ジストロフィー合同班会議,2021/1/8,国内,口頭

国内 / 口頭

「国民との科学・技術対話社会」に対する取り組み
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1.ベッカー型筋ジストロフィー研究の現状と今後の展望,中村昭則,仙台市委託事業医療講演会・相談会,2021/3/21,国内(仙台)

国内



更新日:2022-05-11

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