AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構（AMED）の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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• 2019
• 2018

【成果報告書】

成果の概要

ヒルシュスプルング病類縁疾患は、先天性腸管運動不全を呈する疾患の総称である。このうち指定難病である3疾患(腸管神経節細胞僅少症・巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症・慢性特発性偽性腸閉塞症)は極めて予後不良であり有効な治療がない。2017年に完成した疾患診療ガイドラインにおいても、診断・治療・予後に関する質の高いエビデンスを提供することができているとはいえず、新たなエビデンスを自ら創出することが求められた。
そこで本研究班は、①悉皆性の高い前向き登録レジストリ構築と質の高い臨床研究の推進、②病理診断基準の策定と中央病理診断システム確立、を目指し以下の結果を得た。
① 既存のデータベースや小規模コホートによる予備的検討から、小さなサンプルサイズでも統計学的検出力を担保するアウトカムの設定と、そのためのデータ収集デザインを考案した。DPCや電子カルテ情報から、身長・体重、複数の検査値や薬剤の使用歴といった複数の変数を時系列データとして効率よく取得するための情報抽出プログラムを作成し、研究者による直接入力を極力排除した再現性の高い情報収集パイプラインを樹立した。こうして得られた臨床情報と、病理および遺伝子の情報を一括して格納できるデータベースの基盤を九州大学病院内にある堅牢なサーバーに構築し、2021年度に情報と診断材料の収集を開始する準備を終えた。
② 検体の取り扱いに関する指針の策定を行い全国の病理診断医に対して情報提供を行った。さらに、小児の正常腸管を全国の小児医療機関より収集し、正常な腸管における腸管神経節細胞の数やサイズの詳細な分布を得た。加えて既存の腸管神経節細胞僅少症患者の病理検体の検討を行った。同時に、深層学習を用いた病理組織学的診断技術の開発にも取り組み、検体から腸管神経節だけを抽出し、その中にある神経節細胞の数と大きさを判別する技術を樹立した。今後の検体の蓄積により精度向上が見込まれ、新しい病理診断技術として期待される。加えて、中央病理診断の仕組みづくりとワークフローの整理を行い、2021年度にシステム稼働を開始するための準備を終えた。
　ヒルシュスプルング病類縁疾患について、包括的な情報の集約と病理組織学的診断、ならびに遺伝子解析を進めていくことができるようになった。

学会誌・雑誌等における論文一覧

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1.田口智章、吉丸耕一朗.Hirschsprung病及びその類縁疾患の概念と歴史. 日本臨床外科学会雑誌. 2020, 81(10).

2.田口智章、南レイラ、川?　望、森沙耶香、吉丸耕一朗、髙橋良彰、山座孝義、水田祥代.小児難治性疾患に対する再生医療を用いた新規治療の開発　-主に脱落乳歯幹細胞に着目して-. 福岡医学雑誌. 2020, 111(3)：113-123.

3.田口智章、南レイラ、川?　望、森沙耶香. 胎児診断から小児そして思春期・成人への移行期医療. 日本女性医学学会雑誌. 2020, 27(4):535-541.

4.田口智章. 13.消化器疾患、肝疾患 Hirschsprung病. 今日の小児診療指針　第17版. 2020, 459-460, 株式会社医学書院.

5.Watanabe T, Mori M, Shimizu T, Yamamoto Y, Tei E, Hirakawa H, Ohno M, Tahara K, Tomonaga K, Ogawa K, Takezoe T, Fuchimoto Y, Fujino A, Kanamori Y. Intraluminal manipulator-assisted laparoscopic surgery for Hirschsprung disease. J Pediatr Surg Case reports. 2020, 61: 101606. doi org/10.1016/j.epsc.2020.101606.

6.田口智章、金森　豊、桐野浩輔、吉丸耕一朗、松浦俊治、松藤　凡. Hirschsprung病類縁疾患. 小児外科. 2020, 52:594-598.

7.金森　豊、渡辺稔彦.　腸内細菌コントロールと腸管リハビリテーション.　外科と代謝. 2020, 54：221‐228．

8.Shimojima N, Kobayashi M, Kamba S, Harada A, Hirobe S, Ieiri S, Kuroda T, Sumiyama K. Visualization of the human enteric nervous system by confocal laser endomicroscopy in Hirschsprung’s disease: an alternative to intraoperative histopathological diagnosis?. Neurogastroenterology and motility. 2020, 32(5):e13805, doi.org/10.1111/nmo.13805.

9.矢野圭輔、杉田光士郎、家入里志. IFALDの病態解明に基づくGLP-2を用いた新規治療法の開発. Medical Science Digest. 2020, 46(7): 437-440.

10.山田耕嗣、矢野圭輔、大西　峻、春松敏夫、山田和歌、松久保眞、武藤　充、加治　建、家入里志. 【Hirschsprung病手術の現在】開腹Soave-伝田法. 小児外科. 2020, 52(4): 365-367.

11.小幡　聡、 家入里志、田口智章.【Hirschsprung病手術の現在】わが国のHirschsprung病に対する腹腔鏡手術の現在　全国調査結果より. 小児外科. 2020, 52(4): 331-334.

12.加治　建、武藤　充、永井太一朗、矢野圭輔、大西　峻、春松敏夫、山田耕嗣、松久　眞、連　利博、家入里志.そこが知りたいシリーズ:手術で必要な局所解剖(腹部編)】STEP手術(短腸症候群). 小児外科. 2020, 52(2): 149-153.

13.武藤　充、加治　建、矢野圭輔、大西　峻、山田和歌、Lim DW、長野綾香、松井まゆ、松久保眞、Turner JM、Wales PW、家入里志. 特集「腸管リハビリテーションUpdate」腸管順応促進ホルモン－ペプチド成長因子を用いた短腸症候群の治療について. 外科と代謝・栄養. 2020, 54(6):229-232, doi.org/10.11638/jssmn.54.6_229.

14.加治　建、大西　峻、矢野圭輔、長野綾香、松井まゆ、杉田光士郎、春松敏夫、山田耕嗣、山田和歌、松久保眞、武藤　充、家入里志. 特集「腸管リハビリテーションUpdate」腸管関連肝障害：脂肪乳剤.外科と代謝. 2020, 54(6):241-244, doi.org/10.11638/jssmn.54.6_241.

15.Chiba M, Yonekura T, Kaji T, Amae S, Tazuke Y, Oowari M, Obana K, Nakano M, Kuroda T, Fukumoto K, Yamane Y, Yoshino H, Hebiguchi T, Toki A. Ethanol lock therapy in pediatric patients: A multicenter prospective study. Pediatric Int. 2020, 62(3):379-385, doi.org/10.1111/ped.14096.

16.千葉正博、米倉竹夫、加治　建、天江新太郎、田附裕子、大割　貢、尾花和子、中野美和子、黒田達夫、 福本弘二、山根裕介、吉野裕顕、蛇口達造、土岐　彰．【小児外科領域における感染症-基礎編】長期中心静脈カテーテル患者のエタノールロック療法. 小児外科. 2020, 52(1):77-80.

17.阪　龍太、曹　英樹、佐藤正人.【Hirschsprung病手術の現在】日本内視鏡外科学会ガイドライン(2019年度版). 小児外科. 2020, 52(4):335-338.

18.曹　英樹、奈良啓悟、牧野克俊、安部孝俊、金　聖和、山道　拓、田山　愛、正畠和典、臼井規朗.【Hirschsprung病手術の現在】経肛門的Soave法の術後遠隔期成績．小児外科. 2020, 52(4):347-350.

19.山木聡史、和田　基、工藤博典、仁尾正記. 【小児外科領域における感染症-抗菌薬の選択と意義】小腸移植における感染症の特徴と感染管理の実際. 小児外科. 2020, 52:982-985.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター

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1.改正臓器移植法施行10年特別企画Ⅰ「この10年の成果 小腸移植医」, 田口智章, 第56回日本移植学会総会, 2020/11/1～30, 国内, Web開催.

国内　/　

2.教育講演2：腸管移植の現状e, 田口智章, 第75回日本大腸肛門病学会学術集会, 2020/11/13, 国内, Web開催.

国内　/　口頭

3.国際貢献と難治性疾患への取組―小児外科医として―, 田口智章, 久留米大学小児科GR, 2020/11/27, 国内, Web開催.

国内　/　

4.金森　豊、渡辺稔彦、矢矧加奈、原　妙子、辻　浩和、松木隆広, 大腸切除後や回腸廔管理している患者の腸液の細菌叢・有機酸解析, 第50回日本小児消化管機能研究会, 金沢, 2020/2/15, 国内, 口演.

国内　/　口頭

5.シンポジウム(5) 小児腸管機能不全の最新知見「短腸症候群の予後を拓くために必要なこととは－基礎・臨床研究から」,武藤　充、永井太一朗、矢野圭輔、大西　峻、春松敏夫、山田耕嗣、山田和歌、松久保眞、町頭成郎、中目和彦、向井　基、加治　建、家入里志,第120回日本外科学会定期学術集会, 2020/8/13, 国内, Web開催.

国内　/　

6.腸管不全からの小腸移植へ　患者紹介を増やすには, 工藤博典、和田　基、佐々木英之、福澤太一、安藤　亮、山木聡史、大久保龍二、橋本昌俊、遠藤悠紀、多田圭佑、中島雄大、仁尾正記, 第56回日本移植学会総会, 2020/11/1～11, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

7.小児期発症の腸管不全に対する小腸移植の経験, 和田　基、工藤博典、中村恵美、山木聡史、佐々木英之、福澤太一、安藤　亮、大久保龍二、橋本昌俊、中島雄大、遠藤悠紀、田中　拡、櫻井　毅、風間理郎、宮城重人、仁尾正記, 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020/8/13, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

8.当科における保険収載後の小腸移植実施状況と問題点の検討, 工藤博典、和田　基、山木聡史、多田圭佑、佐々木英之、福澤太一、中村恵美、安藤　亮、大久保龍二、橋本昌俊、遠藤悠紀、中島雄大、仁尾正記, 第32回日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会, 2020/8/8, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

9.小児腸管不全に対する腸管リハビリテーションにおける多職種連携の現状, 山木聡史、和田　基、工藤博典、中村恵美、佐々木英之、福澤太一、安藤　亮、大久保龍二、遠藤悠紀、仁尾正記, 第32回日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会, 2020/8/8, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

10.Hirschsprung病・類縁疾患における病理画像AI診断システムの構築, 安井昭洋、内田広夫、檜　顕成,　第36回日本小児外科学会秋季シンポジウムPediatric Surgery Joint Meeting2020 PSJM2020, 2020/11/5～26, 国内, 口頭.

国内　/　口頭

「国民との科学・技術対話社会」に対する取り組み

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1.安芸太田町へのPHR展開について, 北岡有喜, web講演, 2020/9/3, 国内.

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2.【市民公開講座】クラウド型個人向け生涯健康･医療･福祉･介護履歴管理（PHR）サービス　ポケットカルテ(R)で安芸太田町民を守る, 北岡有喜, 2020/9/24, 国内.

国内