AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
真のHIVリザーバーの同定と排除を目指した研究
課題管理番号
20fk0410012h0003
統合プロジェクト
疾患基礎研究プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
その他
事業名
エイズ対策実用化研究事業 , 感染症実用化研究事業
タグ(2020)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2019)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
タグ(2018)
/研究の性格/生命・病態解明等を目指す研究
/開発フェーズ/基礎的
/承認上の分類/薬機法分類非該当
/対象疾患/感染症および寄生虫症
代表研究機関
国立大学法人熊本大学
研究代表者
(2020) 鈴伸也 , 国立大学法人熊本大学 , 熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 教授
(2019) 鈴伸也 , 国立大学法人熊本大学 , ヒトレトロウイルス学共同研究センター 教授
(2018) 鈴伸也 , 国立大学法人熊本大学 , エイズ学研究センター 教授
研究期間
2018年度-2020年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 36,000
  • 2020年度
    12,000
  • 2019年度
    12,000
  • 2018年度
    12,000
研究概要(2020)
これまでに、fibrocytesにおけるプロウイルスの検出頻度は静止期CD4陽性T細胞と同等であり、感染者によってはどちらか一方に高頻度にプロウイルスを見出してきた。つまり、fibrocytesが静止期CD4陽性T細胞と並ぶ重要なHIV-1リザーバーである事を発見してきた。最終年度は、リザーバーとしてのfibrocytesの特性を更に解明し、その結果を論文として発表する。一方で、マクロファージに関する研究も加速させる。特に近年、トピックとなっている、単球に由来しない、胎生期から常在する、自己分裂マクロファージに焦点をあてる。既に脳のマクロファージであるミクログリアについて、増殖する集団を見出しているので、これら組織自己分裂マクロファージがHIV-1感染後リザーバーとなり得るか、と言う、これまでにない観点の研究を推進する。
研究概要(2019)
初年度に感染者の末梢単核球PBMCから完全長プロウイルスを増幅・配列も確認してきた。更に、増幅の感度・正確性向上の検討を済ませてきた。そこで2年度は順次、上記感染者のソーティング後の検体の解析を進め、どの細胞に高頻度に、配列上、完全なプロウイルス存在するか調べる。また初年度に分担者山本が感染/ARTサルモデルの作出と治療効果の確認などの検証も終え、更に、fibrocytesも含め末梢血などでリザーバー候補細胞群を同定可能なことを確認しているので、2年度目は上記感染者同様、プロウイルスの頻度解明を進める。
研究概要(2018)
HIV根治に向け、長期antiretroviral therapy(ART)治療後も残存する、潜伏感染細胞(リザーバー)の排除が喫緊の課題となっている。一方で非常に重要なのは、真のリザーバー、つまり、感染性のウイルスを産生し得る細胞の全容が未だ明らかとなっていない事実である。本研究では、真のリザーバーの同定とその排除を目的に、長期治療したHIV感染者由来の、静止期CD4陽性T細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞、単球/マクロファージおよびfibrocytesなどを対象に、どの細胞にHIVのプロウイルス、特に完全なプロウイルスが最も高頻度に検出されるか明らかにする。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
現在、長期anti-retroviral therapy(ART)治療後も体内に残存するHIV-1潜伏感染細胞(リザーバー)の排除に向け、潜伏感染機構の解明や再活性化薬剤latency reversing agents (LRA)の探索が活発になされている。本研究では、真のリザーバーとは何かと言う根源的、最も重要な点を明らかにすることを目的に行った。先ず、静止期CD4+ T細胞がHIV-1リザーバーであることは疑いのない事実ではあるものの、少なくとも全ての感染者の末梢血において常に主要なリザーバーとなっていると言う結論は得られなかった。換言すると、他のリザーバーが存在する可能性が示唆された。一方で、感染者および感染サルモデル等、様々な観点の研究から、単球の一部であるfibrocytesが重要なHIV-1リザーバーの一つであると言う状況証拠が集まってきた。一方、マクロファージ関連研究も推進した。マクロファージに関するHIV-1研究は多くが末梢血中の単球を分化させた細胞を用いたものである。これはマクロファージの前駆細胞が単球だと言う考え方に基づいている。しかし、近年この考えが必ずしも全て正しくなく、組織マクロファージは単球に由来しない集団も含め、起源と分裂能(寿命)が異なる、少なくとも3つ以上の集団から構成されるモデルが提唱されている。実際、この点は代表者自身も確認して発表している(Cell Death Discov 2020)。そして、このパラダイムシフトから、生理的なヒト組織マクロファージとHIV-1の相互作用を改めて解明する研究が重要となっている。これらを踏まえ、ヒト組織マクロファージの収集を始め、実際、ヒト腹腔内に胎児の肝臓や骨髄・末梢血中の単球から分化してきたマクロファージに加え、血液幹細胞や単球を介さず、胎児から常在してきたと推定されるマクロファージ集団を同定している。更にこれら組織マクロファージは、対照とした末梢単球と比べ、CD4、CCR5、CXCR4等のHIV-1受容体の発現がかなり高いことを見出している。特に、胎児期から存在し続けてきたと推察されるマクロファージにおいて最も高く、これら異なるマクロファージ集団がHIV-1に対して異なる相互作用を示す、新たな可能性が示唆された。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Nasser H, Adhikary P, Abdel-Daim A, Noyori O, Panaampon J, Kariya R, Okada S, Ma W, Baba M, Takizawa H, Yamane M, Niwa H, Suzu S. Establishment of bone marrow-derived M-CSF receptor-dependent self-renewing macrophages. Cell Death Discov. 2020, 6: 63. doi: 10.1038/s41420-020-00300-3.

2.Lotfi S, Nasser H, Noyori O, Hiyoshi M, Takeuchi H, Koyanagi Y, Suzu S. M-Sec facilitates intercellular transmission of HIV-1 through multiple mechanisms. Retrovirology. 2020, 17 (1): 20. doi: 10.1186/s12977-020-00528-y.

3.Takahama S, Yamamoto T. Pattern recognition receptor ligands as an emerging therapeutic for latent HIV-1 infection. Front. Cell. Infect. Microbiol. 2020, 10: 216. doi: 10.3389/fcimb.2020.00216。

4.Zhang Y, Murakoshi H, Chikata T, Akahoshi T, Tran GV, Nguyen TV, Gatanaga H, Nguyen KV, Oka S, Kuse N, Takiguchi M. Effect of Difference in Consensus Sequence between HIV-1 Subtype A/E and Subtype B Viruses on Elicitation of Gag-Specific CD8+ T Cells and Accumulation of HLA-Associated Escape Mutations. J Virol. 2021, 95 (6): e02061-20. doi: 10.1128/JVI.02061-20.

5.Murakoshi H, Chikata T, Akahoshi T, Zou C, Borghan MA, Van Tran G, Nguyen TV, Van Nguyen K, Kuse N, Takiguchi M. Critical effect of Pol escape mutations associated with detrimental allele HLA-C*15: 05 on clinical outcome in HIV-1 subtype A/E infection. AIDS. 2021, 35 (1): 33-43. doi: 10.1097/QAD.0000000000002704.

6.Akahoshi T, Gatanaga H, Kuse N, Chikata T, Koyanagi M, Ishizuka N, Brumme CJ, Murakoshi H, Brumme ZL, Oka S, Takiguchi M. T-cell responses to sequentially emerging viral escape mutants shape long-term HIV-1 population dynamics. PLoS Pathog. 2020, 6 (12): e1009177. doi: 10.1371/journal.ppat.1009177.

7.Papagno L, Kuse N, Lissina A, Gostick E, Price DA, Appay V, Nicoli F. The TLR9 ligand CpG ODN 2006 is a poor adjuvant for the induction of de novo CD8+ T-cell responses in vitro. Sci Rep. 2020, 10 (1): 11620. doi: 10.1038/s41598-020-67704-0.

8.Maeda Y, Takemura T, Chikata T, Kuwata T, Terasawa H, Fujimoto R, Kuse N, Akahoshi T, Murakoshi H, Tran GV, Zhang Y, Pham CH, Pham AHQ, Monde K, Sawa T, Matsushita S, Nguyen TV, Nguyen KV, Hasebe F, Yamashiro T, Takiguchi M. Existence of Replication-Competent Minor Variants with Different Coreceptor Usage in Plasma from HIV-1-Infected Individuals. J Virol. 2020, 94 (12): e00193-20. doi: 10.1128/JVI.00193-20.

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.Bone marrow-derived macrophages with un-limited self-renewing capacity. Hesham Nasser, Partho Adhikary, Amira Abdel-Daim, Osamu Noyori, Hitoshi Takizawa, Ryusho Kariya, Seiji Okada, Shinya Suzu. 第82回日本血液学会学術集会Web. 2020年10月10日~11月8日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

2.山本拓也. cART治療下SIV慢性感染カニクイザルを用いた免疫学的マルチオミクス解析. 第34回日本エイズ学会学術集会Web. 2020年11月27日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

3.高濱正吉, 岡村智崇, 保富康宏, 山本拓也. SIV抗原特異的CD4T細胞及びCD8T細胞の高感度同時分取法の樹立. 第34回日本エイズ学会学術集会Web. 2020年11月27日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭

4.ナイーブT細胞からのconserved/プロテクティブエピトープ特異的CTLの誘導. 久世望, 赤星智寛, 滝口雅文. 第34回日本エイズ学会学術集会Web. 2020年11月27日~29日. 国内, 口頭.

国内 / 口頭



更新日:2022-05-11

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