AMED研究開発課題データベース 日本医療研究開発機構(AMED)の助成により行われた研究開発の課題や研究者を収録したデータベースです。

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研究課題情報

研究課題名
超高感度尿中微量蛋白質解析技術を用いた肺癌と膵臓癌の新規早期診断マーカー開発研究
課題管理番号
21cm0106410h0006
統合プロジェクト
医薬品プロジェクト
9つの連携分野プロジェクト
ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト
事業名
次世代がん医療創生研究事業
タグ(2021)
/研究の性格/新規診断法・検査法・検査体制の開発、確立、検証<診断薬・診断機器開発は除く>
/開発フェーズ/観察研究等
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/新生物
タグ(2020)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/医薬品
/対象疾患/新生物
タグ(2019)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/新生物
タグ(2018)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/新生物
タグ(2017)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/新生物
タグ(2016)
/研究の性格/医薬品・医療機器等の開発を目指す研究<医療機器開発につながるシステム開発を含む>
/開発フェーズ/応用
/承認上の分類/体外診断薬
/対象疾患/新生物
代表研究機関
国立大学法人宮崎大学
研究代表者
(2021) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , フロンティア科学総合研究センター・特別教授
(2020) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野・教授
(2019) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野・教授
(2018) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野・教授
(2017) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野 教授
(2016) 中里雅光 , 国立大学法人宮崎大学 , 医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野 教授
研究期間
2016年度-2021年度
課題への総配分額

(単位:千円)

  • 168,365
  • 2021年度
    21,800
  • 2020年度
    21,800
  • 2019年度
    42,245
  • 2018年度
    22,245
  • 2017年度
    36,275
  • 2016年度
    24,000
研究概要(2021)
本研究の目標は以下の8つである。1)すでに開発済である尿中蛋白質断片を検出するキットの診断精度について、模擬がん検診コホートによる実証試験を行う。2)肺癌の高リスク患者(特発性肺線維症)を前方視的に解析し、早期診断の有用性を立証する。3)肺扁平上皮癌と小細胞肺癌の新規マーカーの有用性を別コホートで確認する。4)尿中蛋白質断片が腺癌マススクリーニングとして有用か検討する。5)切除可能膵癌の診断に有用な診断システムを構築する。6)MALDI-TOFMSを用いて、ハイスループットな癌診断システムを開発する。7)高感度LCシステムを用いた新たな癌診断システムを構築する。8)腎細胞癌の診断マーカーを開発する。上記の研究目標に関する2021年度の予定は以下とする。1)~3)に関して、4大学(宮崎、鳥取、長崎、産業医科大)の呼吸器内科で収集した尿検体を用いて尿中蛋白質断片を測定し(EIAキットおよび質量解析)、肺癌診断における蛋白質断片の有用性を実証する。また、4)に関して、MRMによる複数の蛋白質断片の解析を進捗させ、腺癌マススクリーニング検査のアルゴリズムを開発する。5)および6)について、独自に開発している質量解析技術を用いた癌診断法の改良を進める。7)について、肺腺癌、COPD、健常者の尿試料中のポリペプチドマーカーの測定を終了し、新たな肺腺癌診断技術を確立させる。さらに、腎細胞癌患者の尿試料を解析し、新規の早期腎細胞癌マーカーを探索する。
研究概要(2020)
本事業の目標は以下の6つである。1)すでに開発済である尿中蛋白質断片を検出するキットの診断精度について、模擬がん検診コホートによる実証試験を行う。2)肺癌の高リスク患者(特発性肺線維症)を前方視的に解析し、早期診断の有用性を立証する。3)肺扁平上皮癌と小細胞肺癌の新規マーカーの有用性を別コホートで確認する。4)尿中蛋白質断片が腺癌マススクリーニングとして有用か検討する。5)切除可能膵癌の診断に有用な診断システムを構築する。6)MALDI-TOFMSを用いて、ハイスループットな癌診断システムを開発する。7)高感度LCシステムを用いた新たな癌診断システムを構築する。上記の研究目標に関する2020年度の予定は以下とする。1)および2)に関して、4大学(宮崎、鳥取、長崎、産業医科大)の呼吸器内科による多施設共同試験における検体収集を終了し、尿中マーカーの測定に着手する。3)に関して、後方視的研究として検体を利用し、尿中蛋白質断片のMRMによる測定を行う。4)に関して、臨床検体の収集を終了し、MRMによる複数の蛋白質断片の解析を実施し、腺癌マススクリーニング検査のアルゴリズムを検討する。5)および6)について、独自に開発している質量解析技術を用いた癌診断法の改良を進め、ハイスループットな癌診断システムの構築を目指す。7)について、解析対象である肺腺癌、COPD、健常者の尿試料を回収し、ポリペプチドマーカーの測定を終了する。さらに、腎細胞癌患者の尿試料を解析し、新規の早期腎細胞癌マーカーを探索する。
研究概要(2019)
本事業の目標は以下の6つである。1)すでに開発済である尿中蛋白質断片を検出するキットの診断精度について、模擬がん検診コホートによる実証試験を行う。2)肺癌の高リスク患者(特発性肺線維症)を前方視的に解析し、早期診断の有用性を立証する。3)肺扁平上皮癌と小細胞肺癌の新規マーカーの有用性を別コホートで確認する。4)尿中蛋白質断片が腺癌マススクリーニングとして有用か検討する。5)切除可能膵癌の診断に有用な診断システムを構築する。6)MALDI-TOFMSを用いて、ハイスループットな癌診断システムを開発する。上記の研究目標に関する2019年度の予定は以下とする。1)および2)に関して、4大学(宮崎、鳥取、長崎、産業医科大)の呼吸器内科による多施設共同試験の症例収集に着手する。3)に関して、後方視的研究として検体を利用し、尿中蛋白質断片の有用性を検討する。4)に関して、2019年度内に統計解析を終了できるよう、研究の進捗を統括する。5)および6)について、独自に開発している質量解析技術を用いた癌診断法の改良を進め、ハイスループットな癌診断システムの構築を目指す。
研究概要(2018)
肺腺がん、肺扁平上皮がん、肺小細胞がん、膵臓がんの早期診断マーカー候補を同定する。MRM法を用いてマーカー候補蛋白断片を高精度に定量し、早期がん診断マーカーを確立する。予後、治療反応性、副作用などの臨床的に有用な項目について、予測するマーカーを探索する。得られたマーカー候補蛋白断片はさらにMRM法を用いた高精度定量解析によりマーカーとしての有用性を評価し、確立する。確立したマーカーについて企業導出および知財出願を行う。
研究概要(2017)
がん早期診断に有用なマーカーを開発することを目的とし、原発性肺がんおよび膵臓がん症例の尿検体を超高感度質量解析技術であるMRM法(Multiple Reaction Monitoring)を用いて、各種の蛋白質断片の解析を行う。 平成29年度は共同研究を行っている国内企業と協力し、同定したがん診断マーカーの検出キットの作成に着手する。また、がん細胞株を用いて、蛋白質の断片化に関与する酵素の活性および発現を解析する。
研究概要(2016)
がん組織で認められる過剰なプロテアーゼ活性は周囲に存在する蛋白質を断片化する。切断された蛋白質断片の一部が尿中に排泄されることに着目し、尿中蛋白質断片から、がん早期診断に有用なマーカーを同定することを目標とする。本研究では、がん死亡原因の多くを占める肺がんおよび膵臓がんの新規バイオマーカーを同定する。平成28年度では、研究体制の整備と、臨床研究の着手および検体収集を開始し、がん組織における蛋白質の断片化メカニズムを解明する。

研究成果情報

【成果報告書】

成果の概要
期間全体を通した本研究の目標は、研究開発代表者らが独自に開発した超高感度尿中微量蛋白質解析法を用いて、肺癌と膵臓癌患者の尿中から特異的蛋白質を同定し、癌の早期診断、予後予測、転移や再発予測としての有用性を実証することである。
肺がん検診における EIA 診断キットを開発する研究について、胸部異常陰影を有し、肺がんが疑われた 119 例の尿と臨床情報を回収した(宮崎大学、鳥取大学、長崎大学、産業医科大学)。この集団における各断片の肺腺癌の診断精度は、A 蛋白断片が感度 80%、特異度 75%、ROC-AUC 0.79、B 蛋白断片が感度 82%、特異度 74%、ROC-AUC 0.78 であった。肺がん発症のハイリスク患者である特発性肺線維症 107 例のうち、肺がん発症例における尿中 A 蛋白断片の推移を検討した。肺腺がん発症例では発症前と比較して A 蛋白断片値が 70%上昇していた。早期肺扁平上皮がん 32 例と健常者 67 例の尿中蛋白質断片を網羅的に解析した結果、早期肺扁平上皮がんにおいて高率に検出される C 蛋白断片を見出した。早期肺扁平上皮がんの尿中 A 蛋白断片値は健常者の 1.4 倍高値であり、根治手術 2 か月後には健常者と同水準まで低下した。小細胞肺がん 43 例と健常者 67 例における解析では、小細胞肺がん症例の尿中に高率に検出される D 蛋白断片に着目した。小細胞肺がんにおける D 蛋白断片値は健常者の 36%高値であった(感度 70%、特異度 80%、ROC-AUC 0.78)。別途回収した小細胞肺がん 35例、健常者 25 例における解析でも同様の結果を確認した。複数種のがん患者で高率に検出される尿中断片4種を同定した。その内、X 蛋白断片が進行期膵がん患者の尿中で検出されることを見出した。早期膵がん 55 例と健常者 25 例の尿検体を用いて、尿中 X 蛋白蛋白質濃度を比較した結果、膵がん患者では尿中 X 蛋白蛋白質値が健常者の約 2.5 倍であった。別途、進行期膵がん 30 例と健常者 24 例の尿検体を用いた。膵がんの検出能は、感度 69%、特異度 91%、ROC-AUC 0.82 であった。令和 3 年度に X 蛋白断片の特異抗体の作成およびリコンビナント X 蛋白断片の作成が終了し、ELISA による検出系を確立し、共同で特許出願をした。今後も同企業と癌検診の応用に向けた共同研究を進めていく予定である。(特許申請中のため蛋白質名は記していない)。
学会誌・雑誌等における論文一覧
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1.Kido T, Ishimoto H, Hara K, Kawabata H, Kawanami T, Suzuki Y, Yoshikawa H, Hara A, Sakamoto, N,Matsumoto N, Yoshii C, Fujita M, Nakazato M, Kadota J, Mukae H, Yatera K. Combined detection of lymphocyte clonality and MALT1 translocations in bronchoalveolar lavage fluid for diagnosing pulmonary lymphomas: A multicenter study of a rare disease group.Sci Rep, 2021, 11, 23430. doi: 10.1038/s41598-021-02861-4

2.Suzuki H, Mitsunaga S, Ikeda M, Aoyama T, Yoshizawa K, Yoshimatsu H, Kawai N, Masuda M, Miura T,Ochiai A. Clinical and Tumor Characteristics of Patients with High Serum Levels of Growth Differentiation Factor 15 in Advanced Pancreatic Cancer. Cancers (Basel). 2021, 13(19), 4842. doi: 10.3390/cancers13194842

3.Sasaki M, Ueno H, Mitsunaga S, Ohba A, Hosoi H, Kobayashi S, Ueno M, Terazawa T, Goto M, Inoue D,Namiki S, Sakamoto Y, Kondo S, Morizane C, Ikeda M, Okusaka T. A phase II study of FOLFIRINOX with primary prophylactic pegfilgrastim for chemotherapy-naive Japanese patients with metastatic pancreatic cancer. Int J Clin Oncol. 2021, 26(11), 2065-2072. doi: 10.1007/s10147-021-02001-y

4.Imaoka H, Sasaki M, Hashimoto Y, Watanabe K, Miyazawa S, Shibuki T, Mitsunaga S, Ikeda M. Impact of Endoscopic Ultrasound-Guided Tissue Acquisition on Decision-Making in Precision Medicine for Pancreatic Cancer: Beyond Diagnosis. Diagnostics (Basel). 2021, 11(7), 1195.doi:10.3390/diagnostics11071195

5.Tahara M, Ishimaru T, Fujino Y, Fushimi K, Matsuda S, Mukae, H, Yatera K. A new scoring system for predicting in-hospital death after lung cancer surgery (the SABCIP score) using a Japanese nationwide administrative database.Thoracic cancer. 2022, doi: 10.1111/1759-7714.14343

6.Dotsu Y, Muraoka D, Ogo N, Sonoda Y, Yasui K, Yamaguchi H, Yagita H, Mukae H, Asai A, Ikeda H. Chemical augmentation of mitochondrial electron transport chains tunes T cell activation threshold in tumors.Journal for immunotherapy of cancer. 2022, doi: 10.1136/jitc-2021-003958

7.Shiraishi T, Oda K, Yamasaki K, Kido T, Sennari K, Mukae H, Ohtani M, Fujino Y, Matsuda S, Fushimi K,Yatera K. Risk factors for in-hospital mortality in patients with advanced lung cancer with interstitial pneumonia undergoing systemic chemotherapy: A retrospective and observational study using a nationwide administrative database in Japan. Thoracic cancer. 236-246, doi: 10.1111/1759-7714.14254

8.Tanida R, Tsubouchi H, Shigehisa T, Yanagi S, Saito Y, Toshinai K, Miyazaki T, Takamura T, Nakazato M.:GHS-R1a deficiency mitigates lipopolysaccharide-induced lung injury in mice via the downregulation of macrophage activity. Biochem Biophys Res Commun, 2022, 589, 260-266 doi: 10.1016/j.bbrc.2021.12.044

学会・シンポジウム等における口頭・ポスター
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1.澁木太郎、宮澤祥一、渡邊一雄、佐々木満仁、高橋秀明、橋本裕輔、今岡 大、光永修一、中村能章、谷口浩也、吉野孝之、池田公史. 膵癌における EUS-FNA 検体を用いた NGS 解析失敗例の検討. 第 52 回日本膵臓学会大会 2021/9/22, 国内,ワークショップ

国内 / 

2.光永修一、池田公史、青木一教、今岡 大、佐々木満仁、渡邊一雄、落合敦志、山口京子、澤田典昭、藤井悦子、西舘正修、藤友崇、水野英明、粥川容子、牧川麻由、角田浩行、寺尾公男.Clinical and biological results tocilizumab + rechallenge gemcitabine / nab-paclitaxel for metastatic pancreatic cancer. 第 19 回日本臨床腫瘍学会学術集会,2022/02/17,口頭

不明 / 口頭

3.光永修一、井上佳苗、平 知尚、江口大樹、奥村 圭、澁木太郎、渡邊一雄、佐々木満仁、今岡大、池田公史. Early onset anorexia-cachexia related worsening of cachexia symptoms during chemotherapy for pancreatic cancer . 第 19 回日本臨床腫瘍学会学術集会, 2022/02/17, 国内, ポスター

国内 / ポスター

4.井上佳苗、佐々木満仁、平知尚、江口大樹、奥村圭、澁木太郎、渡邊一雄、今岡 大、光永修一、池田公史. Retrospective analysis of gemcitabine plus nab-paclitaxel for pancreatic cancer with malignant ascites. 第 19 回日本臨床腫瘍学会学術集会,2022/02/18,国内, ポスター

国内 / ポスター



更新日:2023-04-13

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